2020年までに国内クラウド市場シェアでAWSを抜く――日本マイクロソフトの勝算は:Microsoft Focus(2/2 ページ)
「2020年までに、国内パブリッククラウド市場におけるリーディングシェアを獲得する」――。こんなチャレンジングな目標を掲げた日本マイクロソフトに勝算はあるのか。
Azureを軸にクラウドビジネスを加速
平野社長は、Microsoftのクラウドに対する信頼感が高まっていることも強調する。
「かつてはAzureが商談のテーブルに乗らないこともあったが、2016年以降、AzureとAWSの名前が横並びで挙がることが普通になってきている。技術的に見ても、機能や品質面でAWSに劣るどころか、勝るところが多い。パートナーやユーザー企業もAzureに強い関心を持っており、市場におけるAzureの存在感が明確に変わってきている」(平野社長)
その自信の1つになっているのが、2016年からスタートしたAzureをクラウド基盤としたSAPソリューションのマイグレーションサービスの成功だ。
「SAPのリプラットフォームは、かなりの手応えがあった。この背景には、Azureが実現しているエンタープライズレベルの信頼性が認められ、ミッションクリティカルでも活用できるという安心感が定着してきた結果」としている。
また、エンタープライズレベルでの導入事例が広く公開され始めたことも、日本マイクロソフトのクラウドビジネスを加速させている。
「AzureやOffice 365のほか、EMS(Enterprise Mobility + Security)といった運用管理やセキュリティを主眼とした製品や、Dynamics 365など、多くの製品が出そろってきた。チームが自信を持ってクラウドを提案できる体制が整っている。さらに、今後は、『Microsoft 365』により、統合的な提案ができるようになる」(平野社長)
特にMicrosoft 365については、「お客さまの視点で見れば自然な流れであり、個人的には、なぜこれまでになかったのかと感じる製品」と説明。「Office 365を使っていれば、当然、セキュリティも必要になり、Windowsの管理もしっかりとしたいという要望が出てくる。そして、Dynamics 365との連携提案も可能になる。これを1つのソリューションセットとして提供できることは、お客さまにとっても大きなメリットがある」と強調する。
日本では、海外のように、「LinkedIn」の存在がDynamics 365の普及の追い風になるということがなく、その点ではマイナス要素といえるが、今はそれを感じさせない勢いが同社のクラウドビジネスにはある。
そして、もう1つ、日本マイクロソフトの組織体制の変更とパートナー向けプログラムの強化も、クラウドビジネスにはプラス要素となりそうだ。
従来の「CSP(クラウド ソリューション プロバイダー)プログラム」に加えて、パートナー向けの教育制度を強化。金融、流通、製造、政府・自治体、教育、ヘルスケアの6つのインダストリーにリソースを集中させ、クラウドを活用したビジネスイノベシーョンを支援することになる。
さらに、Azureを軸にした業種別のコミュニティー活動として「Industry"x-Biz"Community」を新たに展開することを発表しており、「IoTビジネス共創ラボ」の活動に加えて、野村総合研究所やFIXERを中心にした「金融デジタルイノベーション・コンソーシアム」を2017年9月末に設立。三井情報やリクルートキャリアを中心にした「HR Tech コミュニティ」を2017年11月に発足する計画だ。これもAzureの活用に弾みをつけることになるだろう。
また、新設したインサイドセールス事業本部も、パートナーのクラウドビジネスの拡大に向けて、質の高い案件創出でサポートすることになる。
「まだまだMicrosoftはチャレンジャーであり、その立場からクラウドビジネスを加速していく」と平野社長は語る。新たな目標は意欲的だ。その高い目標に向けて、日本マイクロソフトは新たな一歩を踏み出した。
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