デジタル改革時代のCEOがやってはいけないこと:Weekly Memo(1/2 ページ)
ビジネスの課題をITで解決する時代になった今、CEOにはこれまでとは異なる考え方や発想を求められることも増えてくる。そこですべきこと、やってはいけないことは何なのか。
破壊的技術への懸念を感じている日本のCEO
「企業のCEO(最高経営責任者)は、デジタル化を進めるIT部門や業務部門に『それで売り上げがどれだけ上がるのか』や『コストがどれだけ下がるのか』といったことばかり言って、やみくもに抑え込んではいけない。むしろ、自らがデジタルの感度を上げてやりたいことを発信すべきだ」――。KPMGコンサルティングの宮原正弘社長は、同社が先頃発表した「グローバルCEO調査2017」についての記者説明会でこう強調した。
今回の本コラムのメッセージは、まさにこの宮原氏の発言そのものである。かねて筆者もさまざまな取材を通じて思っていたことを、同氏がズバリ語ってくれたので、真っ先にお伝えした次第である。
では、これからはこのメッセージが出てきた背景を説明しよう。まずは、KPMGのグローバルCEO調査である。宮原氏が会見で説明した調査概要や主な結果については関連記事をご覧いただくとして、ここでは調査結果から「破壊的技術に対する挑戦」「データに対する不安感」「CEOの進化」といった3項目に着目する。
なお、調査概要のポイントは、主要10カ国のCEO1261人(うち日本のCEOは100人)が調査対象となっていることだ。これを基にグローバルと日本の違いが目立っている結果を取り上げてみたい。
まず1つ目の破壊的技術に対する挑戦では、「今後3年間で、技術イノベーションにより自社の業界に大きな破壊が起きると予想するか」との質問に対し、「はい」と答えた割合はグローバルのCEOが48%だったのに対し、日本のCEOは87%に上った。(図1)
だが一方で、「最新技術に追い付いていくことに対して懸念している」との質問に「はい」と答えた割合は、グローバルの47%に対して日本は79%、さらに「自社の業界における技術イノベーションの進歩への対応に苦労している」との質問に「はい」と答えた割合は、グローバルの37%に対して日本は77%と、要は「破壊が起きると予想するものの、技術への懸念や苦労を感じている」という日本のCEOの強い危機感が見て取れる。
宮原氏によると、特に前者の「懸念」における日本の79%は、調査対象国の中でも最高の割合だったという。
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