スマホとビデオカメラの映像をAIで分析する道路路面診断サービス NTT西日本が実証へ
NTT西日本が、市販のビデオカメラとスマートフォンのカメラで路面のデータ収集し、AIで損傷状況を自動検出する「道路路面診断サービス」のトライアルを実施。安価かつ効率的な道路路面診断の実現を目指す。
西日本電信電話(NTT西日本)は、効率的な道路メンテナンスサイクルの確立に向けて、AIを活用した「道路路面診断サービス」のトライアル実施を発表した。2017年11月〜12月末にかけて、NTT西日本とICT連携協定を締結している大阪府堺市の道路で実施し、サービスの有用性を検証する。
トライアルでは、道路路面性状に関する「データ収集」「データ解析、診断」「解析、診断結果の視える化」という一連の流れに沿って実施し、LCC(Life Cycle Cost:ライフサイクルコスト)算定のシミュレーションまで行う。
データ収集では、市販のビデオカメラとスマートフォンを一般車両に設置して走行し、道路路面性状を解析、診断するためのデータを収集する。
データ解析、診断では、収集したデータをNTTのフィルタリング技術やAIで解析し、路面点検における主要な指標である「平たん性(乗り心地IRI)」「ひび割れ」「わだち掘れ」に準拠する値を算出する。
IRI(International Roughness Index:国際ラフネス指数)とは、舗装の平たん性(乗り心地)を客観的に評価する尺度で、IRIの算出はJIPテクノサイエンスと連携して実施する。ひび割れの検出には、NTTコムウェアの「Deep Learning画像認識プラットフォーム(Deeptector)」を活用する。わだち掘れは道路走行部分に縦断方向に連続して生じた凸凹のことで、トライアルではAIを活用してわだち掘れの検出、解析技術の開発と性能向上を実施する。
解析や診断結果の可視化では、解析や診断結果をWeb地図上にマッピングし、アイコンをクリックとすると路面画像を表示するなど、損傷状況の把握や異常箇所の特定を視覚的に行えるようにする。
さらに、これらによって得られた診断結果を活用して、LCC算定をシミュレーションすることで、予防保全対策を考慮した最適な修繕計画策定の支援を目指す。
高度成長期に整備された舗装道路は建設後40年以上たって老朽化が進行し、適切な修繕と予防保全型の管理が求められているが、広範囲な道路の点検、診断にかかるコストや労力が大きな課題になっているという。今回実証する道路路面診断サービスを活用すると、従来の高価な機材や専用車両が不要となり、点検コストの低減が期待できるうえ、目視点検に代わってAIで損傷状況を自動検出することにより、点検効率の向上が図れるという。
NTT西日本では、トライアルの結果を経て、道路路面診断サービスの早期商用化を目指す。将来的には、路面表示や標識、街路灯といった道路構造物の画像データ取得や異常検出にも同技術を活用し、幅広い道路インフラの維持管理効率化に向けたサービスの開発を目指すとしている。
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