2020年には大ヒット? IoTビジネスの種6選:目からうろこの行政サポート活用術(4/4 ページ)
行政はIoTやAI分野の技術開発に大きな期待を寄せており、支援策も手厚くなっている。その波に乗り、新たなビジネスを創出するにはどうすればいいのか? IoT推進ラボ、「IoT Lab Selection」などの受賞事例から技術やアイデアのヒントを探してみよう。
配線レスの設備情報収集ツール「生産性見え太」
プレス機など、摺動部を有する設備には「ショットカウンター」が装備され、生産数は確認きるが、そのショット数に至るまでのペースや現状のペースの把握はできない。
「配線レス設備情報収集ツール『生産性見え太』」(開発:武州工業)は、古いスマートフォンを再利用し、貼り付けるだけで、左右に動く摺動部の稼働状況を把握できるツールだ。
センシングにスマートフォンの「動きを感知する機能」を利用しており、稼働データを感知し、処理するアプリも新規に開発している。ネットワーク接続には、Wi-Fiや公衆通信網を使うので(100V電源への接続を除き)配線も不要だ。
物体の加速度、傾き、方向などを測定するモーションセンサーは市場に既にあるが、そこを「もう使わなくなったスマートフォン」で代用したところが面白い。ソリューションとしてのアイデアが秀逸だ。このようなフットワークの軽い発想が、“真に役立つIoT”のポイントなのかもしれない。
パトライトをセンシングして機器の稼働を監視する「is-Look」
工場では、稼働状況を把握するため、多くの機器には「青、赤、黄」の3色のライトから成るパトライト(3色灯)が付いている。通常、青は稼働中、赤は停止中、黄色は問題発生などの意味を持つ(工場によって設定可能)。ざっと見渡して青ばかりなら問題なし、赤が点いていればダッシュで問題解決に、黄色なら部材不足などへの対応が必要になる。
従来はこれを人間が目視で確認しているが、「ほとんどの工場では3色」という部分に着眼し、3色だけを判断できる簡易なセンサーで機器の動作状況を24時間把握するシステムと開発されたのが、「稼働監視システム『is-Look』」(開発:飯山精器)だ。工作機械のパトライトにセンサーを取り付け、ライトの色や、点灯・点滅・消灯などを光センサーで把握し、機器の稼働監視を実現している。
身近なところからIoTの“種”を探してみよう
睡眠改善のアプリから、どこの工場にもあるパトライトに着目して3色だけをセンシングするIoTまで、インターネットを介することで環境が変化し、利便性が向上することが分かる。
身近な「こうだったらいいのに」というニーズにこそIoTの“種”が転がっているのかもしれない。常に技術トレンドをつかみ、準備していけば、行政の支援を活用して自社の新たな強みを作れるはずだ。
そのためには、「IoT推進コンソーシアム」や「ロボット革命イニシアティブ協議会」などの動きに注目し、行政の“推しテク”や、大賞、コンクールの情報もウォッチしておこう。
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