2020年には大ヒット? IoTビジネスの種6選:目からうろこの行政サポート活用術(3/4 ページ)
行政はIoTやAI分野の技術開発に大きな期待を寄せており、支援策も手厚くなっている。その波に乗り、新たなビジネスを創出するにはどうすればいいのか? IoT推進ラボ、「IoT Lab Selection」などの受賞事例から技術やアイデアのヒントを探してみよう。
すぐに導入できそうな工場IoTツールのアイデア
次は、より現場に近いIoTを紹介する。
政府の「ロボット新戦略」を実践する団体として設立されたロボット革命イニシアティブ協議会では、中堅中小製造業が簡単に安く使える業務アプリケーションやセンサーモジュールなどのツール(新規開発も含む)を全国から募集して「スマートものづくり応援ツール」に選定し、評価したツールを同協会のWebサイトで紹介している。
ここで紹介している多数のツールは、既に工場や現場で実働しているものが多く、紹介文を読むとリアルな利用シーンが思い浮かぶ。その中からすぐに使えそうな4つのツールを紹介しよう。
既存の機械に設置するだけで遠隔監視ができる「SOFIXCAN Ω Eye」
工場の機器には、制御のためのディスプレイが付いているものが多い。「SOFIXCAN Ω Eye」(開発:ソフィックス)は、機械にカメラを設置してそのディスプレイを撮影し、画像を基に機械の動作状態を把握するもの。
古い機械は、ディスプレイはあっても動作状況を外部にアウトプットできるデジタルインタフェースを備えていない。そこで、ディスプレイに表示されるON、OFFを読み取って状態を把握しようというわけだ。
カメラを設置した機械の「どのランプを認識するのか」「画面内のどの文字を認識するのか」などは、マウスでドラッグするだけで簡単に設定できるなど、かゆいところに手が届く機能もありがたい。
PCやスマホを使って遠隔で機器の動作を確認でき、機械に問題が発生した場合は、発生時の前後30秒の動画を自動保存するため原因解明に活用できるなど、効率的な監視環境を実現できるという。
置くだけでつながる小型IoTセンサー「Webiot [ウェビオ]」
工場や現場でのIoTというと、ボタンのオンオフや、温度、湿度、気圧、加速度、照度、人感、騒音といったデータ収集用途が挙げられる。規定の温度を超えていないか、明るすぎないか、人はそばにいるか、外部に騒音をばらまいてないかなど、工場は気にしなければならないことが意外に多い。そういった各種のデータを常時監視したいニーズは多いものの、導入費用や手間がネックになるケースもあるだろう。
「置くだけで、つながる、IoTセンサー Webiot [ウェビオ]」(開発:ピクスー)は、電池駆動のセンサーボックスを置くだけで利用できるセンサーだ。大きさが50ミリ×50ミリ×25ミリ、重さは約40グラムという小型のボックス型で、電池で約1年稼働する。
センサーはインターネット接続機能を装備しているため、直接インターネットにつながり、データをクラウドに収集できる(別途BLEタイプのセンサーを利用する方式もあり)。
一切の設定が不要で、すぐにセンシングを開始できるうえ、1カ月単位のレンタル形式となっており、費用は1センサーあたり月額500円(税別)のみ。これなら、お試しでも使ってみたくなる。
データをどう処理するかという問題はあるが、解析方法ははデータを採取してみてから考えてもよい。「あの機械の周囲の温度は、大丈夫だろうか」と思ったら、とにかく1つ置いて測ってみてはどうだろう。
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