2020年には大ヒット? IoTビジネスの種6選:目からうろこの行政サポート活用術(2/4 ページ)
行政はIoTやAI分野の技術開発に大きな期待を寄せており、支援策も手厚くなっている。その波に乗り、新たなビジネスを創出するにはどうすればいいのか? IoT推進ラボ、「IoT Lab Selection」などの受賞事例から技術やアイデアのヒントを探してみよう。
IoTビジネスの“卵”たちに学ぶ活用のヒント
今後の技術トレンドの1つとしてIoTは大本命であり、関連の技術支援はより手厚くなると予想される。うまくその波に乗るには、今、どのような技術やアイデアが注目されているのかを知ることが重要だ。今の注目株は、そのまま2018年の“推しテク”になるはずだ。
2017年度に行われた行政のIoT関連イベントで表彰されたプロダクトやサービスをチェックしたところ、数々のユニークなプロダクトが登場し評価を得ていることが分かった。こうした素晴らしい着眼点やユニークなアイデアの表彰事例は、これからのIoT、AI分野への取り組みにとって良いヒントになるはずだ。
例として、先に挙げた「第4回IoT Lab Selection」からグランプリと準グランプリを受賞したツールを紹介する。
睡眠を改善する「睡眠コーチングサービス『O:』」
第4回IoT Lab Selectionでグランプリを受賞したのは、体内時計を可視化して、睡眠を改善するサービス「睡眠コーチングサービス『O:』」(開発:O:)だ。スマートフォンアプリで体内時計に即した睡眠スケジュールをコーチングしてくれるもの。睡眠改善により、働き方改革や生産性向上にも貢献するという。
より良い睡眠を得るために、欧米では睡眠医療の臨床現場で一般的に使われている「不眠症に対する認知行動療法(CBT-i)」のメソッドを組み込んでいるのが特徴。日本ではまだ一般化していないCBT-iメソッドによる睡眠コーチングを、手軽に低価格で受けられる。
年内には法人向けサービスとして提供する予定だという。当面はアプリのみの提供となるが、将来的にはウェアラブルデバイスとアプリを併用するサービスの提供も予定している。
ウェアラブルデバイスとの利用はまさにIoTならではといったところであり、ヘルスケア分野は将来性の高さがうかがえる。
開発者は、自身が激務のあまり不眠に悩んだ経験があり、このサービスを思い付いたとのこと。「何を作ればよいのか」というヒントは、意外と日々の生活の中にあることが分かる。
文字を読み上げるメガネ「OTON GLASS」
第4回IoT Lab Selectionで準グランプリを受賞した「OTON GLASS −読む能力を拡張するスマートグラス−」(開発:OTON GLASS)は、弱視やディスレクシア(文字判別の障がい)に有効な「見ている文字を読み上げてくれるメガネ」。視線の先にある文字列を判断し、画像認識したデータをクラウドにアップ。音声データをメガネに戻してそれを再生するというものだ。
ひと昔前なら最先端の技術が、今やメガネと融合し、コンパクトな入れ物に収まってしまうのだから驚きだ。
視線の認識、画像認識、ネットへのデータアップロード、ダウンロード機能、音声再生といった個々の技術は、今やかなり成熟しており、ものによっては安価な製品として市場に出回っている。それらを組み合わせて、誰が見ても役に立つプロダクトを考えたのは素晴らしいことであり、これもアイデアのヒントは日常にあるという好例だ。
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