2017年のエンプラ的キーワード「デジタルトランスフォーメーション」をあらためて解説する:Weekly Memo(1/2 ページ)
2017年も残すところあとわずか。そこで今回は、企業のIT化に向けて今年のキーワードとなった「デジタルトランスフォーメーション」の動きについて、NTTデータの話をもとに総括したい。
デジタルトランスフォーメーションをもたらす「2つの力」とは
2017年もあと1週間となった。本連載も今回が2017年の最後になるので、エンタープライズ分野において、今年を象徴する動きを総括したいと思っていたところ、NTTデータが「デジタルトランスフォーメーション(DX)」について、分かりやすく説明していたので、その話を取り上げたい。
1年を通して、さまざまな企業がDXを説明し、その必要性を唱えてきたが「何となく実感がわかない。腑に落ちない」と思っている方も多いのではないだろうか。
DXの説明を行ったのは、NTTデータ 技術開発本部エボリューショナルITセンタ長で工学博士の肩書も持つ中川慶一郎氏。同センタは、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)など先進ITの活用を推進するための研究開発組織だ。
中川氏はまず、デジタルについて「SMACS(スマックス)」がコモディティ化し、IoTのインパクトが加わり、さらにAIが加わることで進化が加速した技術と説明。SMACSとはソーシャル(Social)やモバイル(Mobile)といった要素の頭文字を並べた言葉だ。その上で、DXとは「これらをベースに変革を実現すること」と定義付けた。
また、DXは大きく2つの力でもたらされるという。2つの力とは、キードライバーとしての「ベネフィット」と、実現に導くイネーブラーとしての「テクノロジー」だ。同氏は「ユーザー思考はモノ的な価値からコト的なベネフィットへ急速にシフトしている。ただ、その根底にはテクノロジーの高度化と共鳴化による質的変化がある」と説明。そこで、求められているのが「ユーザーエクスペリエンス(UX)」である。「今まさにUXデザインを再考する時代に来ている」と同氏は強調した。
なぜ、今あらためて「UX」なのか。ユーザーの観点では「機能価値から本質価値へ」「経験からさらに自己変革へ」「新しい時代の本物感」、マネジメントの観点では「知的処理の全自動化」「複雑な状況下での合理的判断」が求められるようになってきたからだというのが同氏の見解だ。そして、「デジタルによって競争の次元を変える“トランスフォーメーション”が起ころうとしている」と語った。
ちなみに、同社では現在、知的処理の全自動化に対してRPA(Robotic Process Automation)に注力しており、これを拡張していく計画だという。
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