2017年のエンプラ的キーワード「デジタルトランスフォーメーション」をあらためて解説する:Weekly Memo(2/2 ページ)
2017年も残すところあとわずか。そこで今回は、企業のIT化に向けて今年のキーワードとなった「デジタルトランスフォーメーション」の動きについて、NTTデータの話をもとに総括したい。
デジタルトランスフォーメーションを実現する技術的なポイント
では、DXを実現する中核技術であるAIおよびIoTには、どのような技術的なポイントがあるのか。中川氏はNTTデータが持つ技術力の特徴や強みを踏まえつつ、その答えを説明した。
同社はまずAIの活用領域として、「音声・対話チャットによる質問応答」「RPAを拡張したオフィスワーク支援」「申請に基づく調査・審査業務」に注力している。人間との関係でいえば、質問応答とオフィスワーク支援はコグニティブ(認知)領域、調査・審査業務はアナリティクス領域だ。これらの技術的なポイントとしては、下図に挙がっているものが要素となる。
一方、同社におけるIoTの技術的なポイントは「デバイス協調基盤」を中心として、さまざまなIoT基盤によるデータ収集・蓄積から、デバイス層、プラットフォーム(PF)層、アプリケーション(AP)層にわたってアップダウンし、エッジAIでアクチュエーションする仕組みを統合していることだ。ここで興味深いのは、競合他社を含めたさまざまなIoT基盤とも連携する形のデバイス協調基盤というものを前面に押し出していることだ。
では、デバイス協調基盤とは具体的にどんなものなのか。下図がその内容である。AIエンジン連携、対話制御、音声認識、デバイス連携・制御、ログ分析などといった要素から成り立つデバイス協調基盤は、同社のIoTソリューションを支える、まさしく“肝”なのだ。
中川氏によるDXの話はここまでだが、あらためて「今まさにUXデザインを再考する時代に来ている」および「デジタルによって競争の次元を変える“トランスフォーメーション”が起ころうとしている」との発言が印象深かった。
最後に、筆者も訴えておきたい。DXに関連する取材を通じてつくづく感じるのは、「DXは企業にとって、ビジネスにおいてもマネジメントにおいても“攻め”の取り組みであり、変革に向けた絶好のチャンスである」ということだ。逆に言うと、そうした気概がない企業(さらに言えば経営者)がDXに取り組もうとしても、うまくいかないというか、うまくいくはずがないのだ。まずは、変革に挑む覚悟を持つところが“スタートライン”と言える。
来る2018年は、そんな気概にあふれた企業を数多く取材できることを期待したい。
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
- ITとビジネス、両方見られる人材育成を――IDC Japan、国内IoT市場コグニティブ(AI)活用動向調査結果を発表
IDC Japanは、「IoTとコグニティブを組み合わせることで生み出される価値についての調査結果」を発表した。今後デジタルデータの生成量が急増し、それに伴ってIoTやコグニティブの活用が急拡大するという。 - デジタルトランスフォーメーションとは何か NECの製品体系が示す、その正体
NECがデジタルトランスフォーメーション(DX)事業を体系化した。DXとは具体的に何なのかと問われることがまだまだ少なくない中で、同社によるその体系化で正体を探った。 - Microsoftが描く「デジタルトランスフォーメーションの世界観」
今や企業におけるIT活用の最大のキーワードである「デジタルトランスフォーメーション」。その「世界観」を日本マイクロソフトから聞く機会があったので考察しておきたい。 - GEのデジタル変革、カギは社内カルチャーの改革にあり
GEジャパンの熊谷昭彦代表取締役社長兼CEOが、GEのこれまでとこれから、そしてデジタルトランスフォーメーションに必要なことを語った。 - コレ1枚で分かる「デジタルトランスフォーメーションを支える5つのテクノロジートレンド」
デジタルトランスフォーメーションが進みゆく未来、ITビジネスはどのような変化をしていくのか――ビジネス変革を推進するクラウドネイティブとアンビエントITの流れを軸に、キーとなる5つのITテクノロジートレンドについて解説します。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.