福島県伊達市、遊休車両を有効活用した乗合送迎サービスの実証実験を開始 富士通の「SPATIOWL」を活用
伊達市と富士通は、車両による送迎支援の利用者と遊休車両をマッチングするシステムを「FUJITSU Mobility Solution SPATIOWL」で構築。住民の共助による効率的かつ安全な乗合送迎サービスを実現するため、その有効性を検証する。
福島県伊達市と富士通は2018年1月17日、富士通が提供する位置情報クラウドサービス「FUJITSU Mobility Solution SPATIOWL」(以下、SPATIOWL)を活用し、地域住民の助け合いによる遊休車両を利用した乗合送迎サービスの実証実験を、伊達市月舘町糠田地域の住民を対象に2018年2月から3月まで実施すると発表した。
この実証実験は、伊達市が推進する共助社会構築推進事業の一環として行われる。SPATIOWLを活用したシステムにより、あらかじめ登録された運転手となる地域住民の送迎可能な時間や現在位置と、移動を希望する利用者ごとの目的地から最適な車両を自動的にマッチングして、利用者に乗合送迎サービスを提供。その利便性や移動手段としての安全性などを検証する。
マッチング結果により送迎可能となった運転手には、スマートフォンやタブレット端末に送迎依頼を自動送信する。運転手の送迎可能な時間内であれば、乗合も可能だという。
また、運転手の運転状況を評価するために、法人向けの安全運転評価クラウドサービスを提供するスマートバリューの協力のもと、車両に位置情報や速度などのデータを収集する端末を取り付け、アクセルやブレーキの操作など、さまざまな視点から分析した安全運転評価データを作成し、その有効性を検証する。この評価データは、利用者が運転手を選択する際の指標や、運営主体となる伊達市による運転手への教育などに活用される予定だ。
今回の実証実験の結果を基に、伊達市は対象エリアの拡大や同地域で既に運行しているデマンド交通への適用、病院や介護送迎への本格活用など、サービスの実用化に向けて検討を進める。また、移動だけでなく、生活のさまざまな困りごとを地域内で助け合うサービスに発展させていく計画だ。
富士通は今後、利用者の位置情報、移動実績情報などの蓄積データを同社のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」で分析し、利用者それぞれの特性や嗜好に沿った新たな移動需要の喚起や混雑緩和に活用するとともに、同様の課題を抱える他の自治体や交通事業者へ展開していくとしている。
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