チャットbotの問い合わせ応答パターンを自動生成――NTTドコモ、AI対話サービス開発基盤に新機能を追加
NTTドコモは、AIを活用した自然な対話サービス「自然対話エンジン」に、「FAQチャットボット」機能を追加。ヘルプデスクやコールセンターの一次受付用チャットbotなどを開発する際、QAのリストをアップロードするだけで、文章を解析し、大量の応答パターンを自動生成する。
NTTドコモは2018年2月2日、NTTグループのAI(人工知能)関連技術「corevo」の1つである対話サービス「自然対話エンジン」に、質問と回答のリストからチャットbotを自動作成する新機能「FAQチャットボット」を追加して、法人企業向けに2018年3月19日から提供を開始すると発表した。
FAQチャットボットは、あらかじめ作成した質問と回答のリストをWeb上の管理画面からアップロードするだけで、ドコモの言語解析技術により、質問や回答の文章を解析。重要なキーワードや質問の文章を構成するキーワードを自動的に抽出して、大量の応答パターンを自動生成する。
質問と回答の追加や変更も、管理画面から簡単に操作可能。回答精度を向上させるチューニングやチャットbotの動作テスト、チャットbotの利用状況の確認も管理画面から行える。
一般的なチャットbotサービスや、従来の「自然対話エンジン」でチャットbotを作成する場合は、曖昧な質問に対する聞き返しや応答の組み合わせパターンを1つ1つの質問と回答としてチャート形式で整理する必要がある上、変更や追加をするたびに全体の見直しが発生するなど、運用面の課題があった。FAQチャットボットによりそうした作業が不要になり、効率的な運用・管理が可能なチャットbotの開発を行うことができるようになる。
商用化に先立ち、NTTドコモでは2017年2月から2018年1月まで、社内の問い合わせ用として利用することを想定した検証環境で、2000個の質問と回答パターンを作成し、従来の「自然対話エンジン」でチャットbotを作成する場合との稼働時間の比較や回答精度の確認を実施。従来に比べて70%の稼働削減と、想定される質問に対して90%以上の回答精度を得られたという。
FAQチャットボットは、法人向けクラウド型サービスパッケージ「ビジネスプラス」のメニューとして提供する。標準的なプランである「FAQチャットボット共用環境プラン」の利用料金は、初期費用が50万円(税別、以下同)、月額費用が20万円。登録可能な回答件数の上限は初期設定で1000件(別途費用にて1000件単位で増加可能)。同機能と連動させるコミュニケーションツールは、ビジネスプラスではワウテックのビジネスチャットサービス「WowTalk(ワウトーク)」を提供する他、導入企業で独自に開発、準備することも可能だという。
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