AIでタクシー需要を予測、平均売上が20.4%増――トヨタら4社、東京都内で「配車支援システム」の共同検証へ
トヨタ自動車、JapanTaxi、KDDI、アクセンチュアの4社が、AIでタクシー需要を予測する「配車支援システム」の試験導入を東京都内で開始。タクシーの運行実績や人口動態予測データなどから需要を予測し、ドライバーのタブレットに配信する。2018年度中の実用化を目指す。
トヨタ自動車、JapanTaxi、KDDI、アクセンチュアの4社は2018年3月9日、AI(人工知能)を活用して予測したタクシー需要をドライバー配信する「配車支援システム」を開発し、同年2月から東京都内で試験導入を開始したと発表した。
配車支援システムに利用されるタクシー需要予測技術は、東京都内の500メートルメッシュごとのタクシー乗車数を30分単位で予測するもの。JapanTaxiが提供するタクシーの運行実績と、KDDIが保有するスマートフォンの位置情報ビッグデータから生成する人口動態予測に加え、タクシー需要への影響が大きい気象、公共交通機関の運行状況、周辺のイベント開催情報などのデータをAIに取り込んで分析し、需要の大小に応じた複数の学習モデルを適用する。需要予測精度を東京都内で検証した結果、正解率94.1%の精度を実現したという。
タクシー需要予測の情報は、タブレット端末の専用アプリに配信。地図上に予測乗車数と、周辺の直前の空車タクシー台数を表示して、ドライバーが需要と供給のバランスを見ながらタクシーを運行できるようにした。これにより、需要は大きいものの、空車タクシーが少ない場所に車両を集めるといった運用も可能になるという。
また、営業成績の良いドライバーの知見に基づいた「お客様を見つけやすい走行ルート」のデータも配信する。
この配車支援システムにより、利用者の待ち時間を短縮できるだけでなく、配車の最適化による乗車率の向上を見込めるとしている。
2018年2月からの試験導入では、JapanTaxiの関係会社である日本交通のタクシー数台に導入し、実環境での有効性を検証。同システムを利用したドライバーの2月の売り上げは、1日当たり前月より平均20.4%増え、ドライバー全体の増加率9.4%を上回った。
4社は今後、順次、試験導入するタクシーを数十台に増やし、2018年度中の実用化を目指すとしている。また、同システムを新人タクシードライバーの研修ツールとしても活用する。さらに、タクシー車両向けに搭載を拡大する予定の通信型ドライブレコーダー「TransLog」から収集される「走行画像」の解析結果と、タクシー需要の相関関係の研究を進め、同システムに活用することも検討する計画だ。
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