2018年、経営トップの入社式訓示にみる「IT企業が求める人材像」:Weekly Memo(2/2 ページ)
4月は企業にとって新入社員を迎える時。果たしてIT企業はどんな人材を求めているのか。経営トップの入社式での挨拶から探ってみた。
視野を広げながら座標軸をしっかりと持て
同様に視野を広げようというメッセージでは、次のコメントもこの経営トップならではの内容である。
「昔の話になりますが、トヨタ自動車の豊田章一郎さんが経団連会長や財政制度審議会会長をなされており、時々お会いすることがありました。経済や世界情勢、財政について議論したあとで、豊田さんは必ず最後にそれらと自動車業界に対する影響・関係について尋ねていらっしゃいました。おそらく、自動車とともに生きておられる方なので、そういう考え方の座標軸ができていたのだと思います。仕事の仕方や創意工夫によって、いろいろな面において考え方やものの見方の幅は広がっていきますので、ぜひ仕事を好きになっていただきたい」(インターネットイニシアティブの勝栄二郎社長)
「視野を広げながら座標軸をしっかりと持て」というのが勝氏のメッセージである。さらに、次の2つのコメントも「顧客視点」を強調したもので印象深かった。
「皆さんが企業で取り組む全ての営みは、お客さまのために行うものであるということを忘れないでほしい。そして、グローバルな視点で社会や市場の変化、競争相手の動きなどを敏感に捉え、自身の目標や行動のスピード感を客観的に考えられる高い視座を持てるよう努力してほしい」(NECの新野隆社長)
「皆さんに知っておいてほしいのは、お客さまについてあらゆることを知っていなければならないということです。われわれがここにいるのはお客さまやパートナーさまに最高のサービスを提供するためです。お客さまを知るために努力を払うことこそが、オラクルでキャリアを築いていくうえで優れた投資になります」(日本オラクルのフランク・オーバーマイヤー社長)
顧客視点の重要性はどの企業も認識しているはずだが、日々の業務の中でついそれを見失いがちになるものだ。全社員に自社の顧客を常に意識させるように努力するのも経営トップの非常に重要な役目である。
そして最後に、次のコメントを紹介しておきたい。
「インターネットの何が面白いかというと、技術的にも非常に面白いのですが、やはりこの技術が世の中の“仕組み”を変えてしまうということ、そうしたことがすごく面白いのではと思っています。例えば最近IIJは、デジタル通貨の取引、決済をする会社を作りました。現金というのも、いってみれば信用があるだけで“バーチャル(仮想)”ですが、インターネットにより、金融の取引全て仮想化すること、つまり、信用さえ裏側にあれば、ものの動きというのはバーチャルで済むという1つの典型です。プロセッシング技術が高速化することによって、これからもどんどん新しい、思いもよらないような社会が作られていくのかもしれません。会社にしても、働き方にしてもしかりです」(インターネットイニシアティブの鈴木幸一会長)
世の中の仕組みを変えてしまうような技術開発や、それを活用したビジネスの発想と実行に果敢にチャレンジする人、これがIT企業の求める人材像の大事な部分であることは間違いなさそうだ。
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