英当局、Cambridge Analytica(CA)に米国民に対する個人情報開示を命令
英情報保護当局のICOがFacebookスキャンダルの渦中にある英調査会社CAの親会社SCLに対し、米国民である個人からの情報開示請求に応じるよう命じた。拒否すれば刑事犯罪とみなすとしている。
英個人情報保護監督機関であるICO(Information Commissioner's Office)は5月5日(現地時間)、英調査会社Cambridge Analytica(CA)の親会社、英SCL Electionsに対し、同社が入手した米国民であるデビッド・キャロル氏の個人情報をキャロル氏に開示するよう命じたと発表した。
CAは、米Facebookの個人情報スキャンダルの渦中にある英国の調査会社。Facebookアプリで収集した個人情報を不正に入手し、2016年の米大統領選でトランプ陣営のために利用したとされている。
Facebookによると、CAがFacebookから収集した個人情報は約8700万人分で、米国民のものは7000万人以上という。
ICOはSCLに対し、30日以内に命令に従わなければ刑事犯罪とみなすと警告した。
ニューヨークのパーソンズ美術大学の教授であるキャロル氏は2017年1月、CAにSAR(個人情報開示請求)を送ったが、満足な回答が得られなかったため、9月にICOに申し立てた。
ICOは「CAはこの件に関するICOの調査への協力を一貫して拒否している。(たとえ英国人でなくても)キャロル教授をはじめとする一般人がCAが持つ個人情報について知ることは重要だ。CAが事業を終了しようがしいまいが、ICOへの協力拒否は執行通知に違反し、犯罪とみなされる」としている。
CAは2日、連日のメディアによる報道のせいで顧客を失ったとして破産申請した。
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