「NEC 365」にみるマイクロソフトの新しいパートナー協業形態:Weekly Memo(1/2 ページ)
NECとMicrosoftが「Microsoft 365」の利用を促進する新サービス「NEC 365」を共同開発し、販売を開始した。この動きに、Microsoftの新しいパートナー協業形態が見て取れる。
NECとMicrosoftが共同開発した「NEC 365」
「NEC 365はMicrosoft 365のOEMではない」――。日本マイクロソフトが8月30日に開いたパートナービジネスに関する記者会見の終了後、「これはOEMではないのか」と聞いた筆者の質問に、同社の高橋美波 執行役員常務パートナー事業本部長はこう答えた。
NECが同日より販売開始した「NEC 365」は、Microsoftのクラウドソリューション「Microsoft 365」の導入時に必要なサービスを組み合わせたものだ。サービス名称からはOEMにも見て取れるが、会見の説明では言及がなかったので、終了後に聞いてみたところ、上記のように否定された。
ただ、手前みそだが、OEMかどうか、という質問はあながち的外れではない。キーワードは「共同開発」だ。
この会見で説明に立ったNECの松下裕 執行役員マイクロソフトソリューション推進担当によると、NEC 365は「Windows 10」や「Office 365」が利用できるMicrosoft 365に加え、これまで300社および100万ユーザーを超えるOffice 365導入実績で培ったノウハウを基に、運用管理者が直面するクラウドサービス特有の課題を解決するNEC独自の付加価値サービスを提供するという。(図1)
そして、Microsoftとのクラウド領域における戦略的協業に基づき、日本マイクロソフトのプレミアムサポートと連携。これが共同開発の軸になっているようだ。
NEC 365の具体的なサービス内容は、図2に示すように、5つのカテゴリー、15のサービスからなっている。さらに詳しい内容については、発表資料をご覧いただきたい。
松下氏はNEC 365投入の狙いについて、「当社はこれまでOffice 365やMicrosoft 365で豊富な導入実績を持つものの、その利活用の促進、さらにはこれらによって働き方改革を実現したいというお客さまのニーズに対応できていなかった。NEC 365はそうしたニーズに、安価でスピーディーに応えられるように仕立て上げた。今後もお客さまの声を聞きながら、Microsoftとともにサービスの強化を図っていきたい」と説明した。
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