3年後には138万時間分を自動化、1200トンの紙を削減 あいおいニッセイ同和損保のRPA導入、その勝算は?:業務を単に自動化するなら、やらない方がマシ(2/2 ページ)
「紙の作業が多い」といわれる損保業界。その中で、あいおいニッセイ同和損保が思い切ったRPA導入と業務改革に乗り出した。業務フローを根本から見直し、あくまで“内製”で進めるというその内容とは一体何か。
「自動化しやすい業務」ではなく、「自動化の効果が大きい業務」を見極める
現在、同社では「経理部や人事部など、人数が多く、コストをかけている部門トップ10を選んだ上で」(黒田さん)、各部門で数カ月かけて業務の見直しと自動化を進めているという。
「あくまで『自動化しやすい業務』ではなく、『効果を出せる業務』を選んで自動化したいので、現場に任せきりにせず、専門チームとIT部門の両方が連携して進めています。今後、全社で業務の自動化を進めていくことを考えれば、メンテナンスや予算管理も含めて、集中的な管理を行う部門が必要だろうと考えたためです」(黒田さん)
とはいえ、今まで自分たちがやっていた業務が、現場以外の人間によって見直され、自動化されていく――というプロセスには、反発を覚える社員もいるだろう。そうした社員をどう説得し、改革を進めているのか。
「当然、反発はあります。今回の導入プロジェクトのポイントは、今の時代に不要になった業務をできるだけ自動化し、その分の時間でこれから必要な業務を手厚くする、という変化を後押しすることです。
例えば、バックオフィスで事務にいそしんでいる人たちには、これからは顧客のサポートといったフロント業務にどんどん出てもらいたい。これからもっと『便利になる』という点を現場に理解してもらい、若手のアイデアを取り入れながら、果敢に新しいことにチャレンジしていける環境を作りたいと考えています」(黒田さん)
同社では今後、自動化によって2021年度には約138万時間分の「余力」を全社で作り出し、新たな業務やサービスに注力したいとしている。また、現在紙をベースに行っている業務のデジタル化を進め、年間約1200トン分の紙を削減するという。
「今までの業務を変えずにひたすらロボット化するのなら、やらない方がマシでしょう。変化する時代に合わせて業務を変え、社員の手で柔軟にデザインできるレベルを目指したいと考えています」(黒田さん)
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