“高度専門人材”の争奪戦に負けるな! NTTデータに見るデジタル変革時代の人事制度とは:Weekly Memo(2/2 ページ)
NTTデータが、デジタル変革をリードする専門性の高い外部人材を市場価値に応じた報酬で採用する制度を新設した。この機に、同社の説明に基づいて、デジタル変革時代の人事・報酬制度について考察してみたい。
狙った人材に相応の報酬を提示してハンティングも
2つ目は、ADP人材の人事・報酬制度について。図3に示したのが、その内容である。報酬は先述したように市場価値に応じた形で、図の左側にあるように「役割給」と「業績給」からなり、その名の通り、業績への貢献度で業績給が変動する。
さらに、業績への貢献度が低い状態が続くと、業績給に加えて役割給も減少することがあり得る。柳氏によると、「役割給は通常の給料の固定給に相当するが、業績に寄与していなければ、そこも減少の対象になる」とのこと。それほどADP人材の報酬は業績連動であるというのが、大きな特徴だという。
では逆に、業績への貢献度が高い場合はどれくらいの報酬になるのか。上限はどれくらいなのか。こういう人材に関する話は報酬がポイントになるので、会見の質疑応答で聞いてみたところ、柳氏は次のように答えた。
「確定申告が必要にはなるだろう。上限は設けていない。というより、どのような人材を採用できるかによって報酬水準は変わると考えている」
このコメントは興味深い。それは確定申告が必要な年収2000万円以上の話ではなく、採用する人によって報酬水準が変わるという点だ。これは言い換えれば、狙った人材に相応の報酬を提示して、来てくれるならば用意する、ということだ。筆者はこの点がADP制度の勘所と見た。
そして3つ目が、人事・報酬制度における日系企業と外資系企業の考え方の違いである。図4に示したように、例えば、報酬水準では日系企業が「ポスト・職位による報酬」なのに対し、外資系企業は「ビジネス貢献量に比例した報酬」という考え方だ。報酬構成についても、日系企業が「固定給の比率が高い」のに対し、外資系企業は「変動給の比率が高い」ことが重視される。
ちなみに、NTTデータグループの社員数は国内外を合わせて約11万8000人で、そのうち7割が海外だ。柳氏によると、人事・報酬制度については国内外のグループ会社によってそれぞれ異なっており、今回発表したADP制度は基本的にNTTデータ本体で採用したものとなる。
そうしたバックグラウンドがあるだけに、図4の内容は的確だと見て取れる。ADPのような制度を適用したいと考えている企業には、参考になるだろう。
ADP制度の導入で、NTTデータは実際にどのような人材を獲得できるか。また、国内IT大手各社も同様の制度を適用する方向に動き出すか、注目しておきたい。
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