「ウチの社員はITリテラシーが低すぎて、Windows 10の運用はムリ」 それって本当ですか?:横河レンタ・リースの「Win10運用マスターへの道」(11)(3/3 ページ)
2019年になり、いよいよWindows 7のサポート終了まで1年を切りました。今回はこれまでの記事を振り返りつつ、移行に関してよく聞かれる疑問や悩みに答えていきます。
上級編:「ウチの従業員は、ITリテラシーが低過ぎて……」
「ウチの従業員は、ITリテラシーが低過ぎて。Windows 10の変化についていけないし、パイロット運用なんて無理」
最後の相談はこちら。私自身、プロビジョニングパッケージや、それを利用した当社のサービス「Simplit プロビジョニング」を提案した際に言われた経験があります。「ウチの従業員はITリテラシーが低過ぎる」という悩みは、多くのIT部門の方々が抱えているのではないでしょうか。
プロビジョニングパッケージは、従来のクローニングのような“単なるデジタルコピー”ではないため、仕様が異なる部分も少なくありません。その最たるものは「ユーザーの設定」でしょう。
ユーザーの設定は、当然ユーザー自身が変更できるものです。例えば、スマートフォンは、「ストアからアプリケーションをダウンロードして、自分が使いやすいようにカスタマイズする」というコンセプトが特徴ですが、Windows 10もこの流れをくんでいます。そのため、「ユーザーが設定を変更できる部分については、管理者が設定する必要はない」という考え方でシステムが設計されているのです。
しかし、「ユーザーのITリテラシーが低い」と仮定してさまざまなリスクを回避しようとすると、事前に「操作手順書」を提供する必要がありますし、その操作手順書をなるべくシンプルにしようとすると、ユーザーの設定もあらかじめ変更しておきたくなるのです。
以前もお話ししましたが、Windows 10はアップデートのタイミングで仕様がころころ変わります。それはユーザーの設定も例外ではありません。「昨日まで上にあったボタンが、気付いたら下に移動していた」なんてこともザラです。ちなみに次期アップデートの「19H1」では、Cortanaと検索が分離されるとのことで、また大きく見た目が変わります。
では、こうした仕様の変更に合わせて、逐一、手順書を改変していくのでしょうか。そんな作業は無駄でしかありません。
そもそも、本当に従業員のITリテラシーは低いのでしょうか。何となく使ってみて、分からなかったらWebで検索したり、人に聞いたりして使っていくというのが、昨今のデバイスのありようで、多くの従業員はこのような形でスマートフォンやさまざまなクラウドサービスを利用しています。昔とは異なり、専門的な知識を必要としないものがほとんどです。
もちろん、サポートは必要ですが「分からない」よりも「説明がない」という本質的ではないクレームを言う人たちを相手にしてはいけません。一部の“声の大きい人”に惑わされずに、IT部門の方々にはぜひ毅然(きぜん)とした態度で、企業のDXを主導してもらいたいと思います。Windows 10への移行は、ITに対する全社の姿勢を変えるいい機会です。
今回はWindows 10の運用における疑問や悩みに対する答えをまとめましたが、既に一部でWindows 10を導入(運用)しており、これからいよいよ全社導入というタイミングの企業も多いでしょう。彼らからは、以下のようなトラブルに見舞われてしまい、「全社導入が不安」という声をよく聞きます。
- Windows 10のアップデートがよく失敗する
- アップデートは完了するが、すぐに古いバージョンに戻ってしまう
- WSUSを設定しているのに、なぜか勝手にWindows Updateがかかってしまう
- アップデートすると設定が変わったり、デフォルトに戻ったりしてしまう
読者の皆さんの中で、こうした状況に陥った方はいませんか? 次回は、これらの細かい技術に関する疑問や悩みを解決できればと思います。お楽しみに!
関連記事
- 放っておくとPCの“賞味期限”が切れる!? 情シスを悩ませる「Windows 10」運用
数十万台規模のレンタルPCを企業に提供している横河レンタ・リース。最近、同社に多く相談が寄せられるのは、何かと話題のWindows 10。OSのアップグレード方式が変わったことで、なんと「PCに“賞味期限”が生まれる」という、とんでもない事態が起きているという……。 - デカすぎるWindows 10のアップデート、企業内ネットワークがダウンする可能性も?
Windows 10への対応に合わせて、レンタルPCの運用を見直すことになった横河レンタ・リース。まず着手したのは、レンタルPCビジネスの根幹ともいえる「クローニング」の部分だった。 - そのPC、そんな“空き容量”で大丈夫か? Windows 10のアップデートに潜むワナ
数GBにも及ぶWindows 10のアップデートデータを全PCにダウンロードさせると考えると、「うわ〜、ネットワーク帯域がもたないかも」と不安に思うIT管理者は多いでしょう。しかし、それ以前に気にすべきポイントがあるのをご存じでしょうか。 - 第8回 「Windows 10」が“最後のWindows”ってどういう意味?
マイクロソフトの新OS「Windows 10」。もう使ったという人も、まだ試していないという人もいると思うが、あらためてそのポイントを“マイクロソフトの人”に解説してもらおう。第8回はWindows 10で採用された、新たなOSの提供形態「Windows as a Service」について。 - 第1回 「Windows 10」は今までのOSと何が違うの?
マイクロソフトの新OS「Windows 10」。もう使ったという方も、まだ試していないという人もいると思うが、あらためてそのポイントを“マイクロソフトの人”に解説してもらおう。第1回はWindows 10が登場した背景やマイクロソフトが向かう方向性について。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.