もう「御用聞き」はいらない 「共創」求めるユーザー企業にIT業界はどう応えるのか:Weekly Memo(1/2 ページ)
NECが新たな技術展示施設を設けた。従来のショールームではなく、顧客と“共創”を行うための場だという。この機に、以前から気になっていた「共創」について考察したい。
NECが「新たなイノベーションを生む共創空間」を新設
NECが先頃、「体感と対話で、新たなイノベーションを生む共創空間」と銘打った技術展示施設「NEC Future Creation Hub」を東京・三田の本社ビル1階に新設した。その発表とメディアへのお披露目を兼ねた会見では、同社の榎本亮 執行役員兼最高マーケティング責任者(CMO)と同施設の責任者である野口圭センター長が説明を行った。
同社では新施設を「お客さまとNECが共に未来を描く場所であり、テクノロジーとビジネスの融合を“体感”し、それらがお客さまの課題とその先にある社会課題の解決にどう貢献できるか“対話”を重ね、新たなイノベーションを生み出す共創の場」と位置付けている。
榎本氏は「Hub」と名付けたことについて、「ここから、社会に価値を生み出し、変えていくという思いを込めた」とし、「本社内なので必要な関係者が一堂に会しやすい」「世界中のあらゆる拠点をつなぐ」「オープンイノベーションの推進」「社員向けのインナーブランディングの強化」といった理由を挙げた。
本社1階のオープンフロアに設けられた新施設は、敷地面積約1800平方メートル、利用は完全予約制。これに伴い、デジタル変革による共創を支える人材として、約1600人からなる専門家集団「デジタルオールスターズ」を組織した。ビジネスデザイナー、データサイエンティスト、エバンジェリストらがメンバーとなり、顧客の課題や社会課題に適したチームを編成し、「NEC共創プログラム」を進めていく構えだ。(図1)
NEC共創プログラムとは、顧客やパートナーと共に、社会の本質的な課題探索から始める「社会課題への気付き」、課題解決に必要な人たちとつながる「価値創造への仲間づくり」、先進のICTを活用した新たなビジネスモデルを創出して社会価値を創造する「ICTを活用した価値づくり」を実践することだとしている。
ただ、顧客との共創を掲げた技術展示施設は、競合他社で既に整備・運営しているところもある。NECの新施設はそうしたところとどう違うのか。榎本氏はこの点について次のように説明した。
「お客さまと私たちの共創はこのHubだけにとどまらず、デジタルオールスターズが全国どこでもお客さまの現場にお伺いして、実際の状況をしっかり捉えて深いディスカッションを行いながら進めていく。現場重視でこれだけの態勢を整備しているのは他にないと自負している」
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