地方や中小企業にもAWSのスーパーパワーを AWSジャパンのビジネス最新状況:Weekly Memo(2/2 ページ)
AWSジャパンが先週開催したパートナー向けイベントで、日本でのビジネス展開における最新状況が明らかになった。その中から筆者がユーザー視点で選んだ興味深い話を紹介したい。
パートナーが語るAWSのユーザーメリットと地方での活用
さて、ここからはパートナーとしてユーザー事例などを説明した2社のメッセージを紹介したい。
まず1社目は、金融業向け専門の中堅システムインテグレーターであるシンプレクスだ。同社の関口匡稔 金融フロンティアディビジョンプリンシパルが講演を行った。同社は創業以来20年にわたり、日本の金融機関に向けて収益業務に特化した金融フロントソリューションを提供している。最近では、AWSと連携した次世代プラットフォームソリューション「GenesisEIP」の展開に注力している。
関口氏は講演の最後に、AWSを提案し、導入したことによって、顧客も自らも「既成概念から解放されて、自由な発想でシステムを提案・構築できるようになった」と意識が変わったと語った。
そして図4を示しながら、とくに右側に記されている4つのユーザーメリットについて、次のように説明した。1つ目は「システム企画が高速に」。物理的なサーバやデータセンターなどの調達が必要なくなるからだ。2つ目は「システム評価を随時に」。スケールアウトのシステムによって、まずやってみて足らなかったら増やせばいいという考え方で臨めるからだ。3つ目は「限定的な内製化がやりやすく」。コンテナ技術を有効利用すれば可能になる。4つ目は「納得感のあるコスト」。従量課金によるコストの透明性が確保できるようになる。
2社目は、東北地方の中小企業を顧客に持つクラウドインテグレーターであるヘプタゴンだ。同社の立花拓也社長が講演を行った。東北地方で100を超えるプロジェクトをクラウドで稼働させた実績を持つ同社は、その中から事例を紹介。
そして立花氏は講演の最後に、図5を示しながら地方でのAWS活用の意義について次のように語った。
「地方のさまざまな課題と、イノベーションを起こすことができるAWSのソリューションは、実は非常に相性の良い関係ではないかと、私たちは考えている。地方の課題を地方のパートナーがAWSを使って解決していくことが、ビジネスの“地産地消”につながり、ひいては地域の真の活性化につながるのではないか」
さらに、こう続けた。
「日本の地方の課題というのは、これから近い将来、世界各地で起こり得る問題だと思っているので、それをまず日本で解決していくことが、ゆくゆくはグローバルなビジネスを生むチャンスになるのではないか。AWSはもはや首都圏、スタートアップ、エンタープライズだけのものではない。今こそ、地方や中小企業にもAWSのスーパーパワーを生かしたい」
IT化の促進に向けて、こんな威勢のいい話が出てくるのは、とてもけっこうなことである。今回の取材を通じて、AWSはまた一段とすごみを増したように感じた。渡邉氏は講演の中で、「日本のクラウド市場はまだまだこれからが本番」と幾度も繰り返していた。AWSの快進撃は続くのか。引き続き、注目しておきたい。
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