「そのRPA、DXの足を引っ張ってない?」――企業が考えるべき現実的な組み合わせとは:Mostly Harmless(1/3 ページ)
「RPA(Robotics Process Automation)」は、うまく活用しなければ、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の足を引っ張ることになりかねません。RPAとDXを理想的な形で推進するために注意すべきポイントとは? 現状の問題を洗い出しつつ、考察してみしょう。
この記事は大越章司氏のブログ「Mostly Harmless」より転載、編集しています。
昨今、「RPA」(Robotics Process Automation)が盛り上がっています。ITmediaでは、特集ページも開設されています。RPAは実際、目に見えて効果が上がるケースが多いのに加え、経営層にとって投資しやすいという面があるのでしょう。しかし、RPAは「その場しのぎ」を助長してしまう可能性があります。
上記の記事では、RPAは「弥縫策(びほうさく)」であって、本来はビジネスプロセスを見直し、改善すべきだと書いています。そして、ビジネスプロセスの改善というのは、最近よく耳にするキーワードである「デジタルトランスフォーメーション」(DX)ということになります。
ただ現実を見ると「何が何でもDX」というわけにはいきません。日本では、RPAとDXをうまく組み合わせる必要がありそうです。
まずはDXを目指すべきでは
経済産業省は2018年9月に、「このままDXが進まないと2025年に危機を迎える」と警鐘を鳴らしました。
以前に、この連載でも解説しています。
DXが目指す業務効率化の基本は、ビジネスプロセスを根本から見直し、デジタル対応させることで、これまでとは異次元の効率化を目指すというものです。
しかしRPAをうまく活用できなければ、現状のビジネスプロセスの非効率性に目をつぶり、小手先の技術で手間を省いて効果を上げることにとどまります。それでは、本来目指すべきDXには行き着かないことになってしまいます。
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