Workdayのファイナンスにクラウド版Informatica、壮絶な“初物導入の舞台裏”全部見せます:怒濤の5並列プロジェクトを振り返る(8/8 ページ)
あの、話題のプロジェクトの現場で、実際にどんなことが起こっていたのか――。初物ソリューション導入の「いいことも悪いことも全て」公開するというイベントが開催された。
プロジェクトの最大の成果は
こうして、プロジェクトに参加したクックパッドのメンバー、開発やプロジェクトマネジメントに参画したパートナー企業のメンバー、そして製品ベンダーの担当者が一堂に会して率直な意見が交わされたわけだが、プロジェクトが完了した後に互いに気兼ねなく本音をぶつけ合うことができたのは、ひとえにプロジェクトを通じてメンバー間の良好な関係性が築き上げられた結果だと言えよう。
中野氏は、あらためてこのプロジェクトを振り返ったときに、「最大の成果は“人”の成長」という結論に達したという。
「私自身、『システム投資は人に対する投資である』という信念を持っているのですが、今回のプロジェクトで『システムに投資しないというのは人に投資しないことである』と断言できるくらいそれを確信しました。なぜなら、システム投資で削減できる「労働集約的な作業」が、人の成長を妨げ、人材の価値を毀損しているからです。ルーティーン作業はルーティーンワーカーしか生み出さないし、課題解決ができる人を育てるには課題解決をやり続けるしかない。プロジェクトはまさに課題解決の連続であり、成長の機会がたくさんある。
『プロジェクトが終わったときに人が育っていなければならない』という信念もありました。高い目標と限られた時間とお金と人員。並行する複数プロジェクト――。一歩間違えれば炎上という“綱渡りのような案件”だったと思います。今回のプロジェクトの成果としては、当然、出来上がったシステムがあるわけですが、それ以上にメンバーの成長やチームの強化が最大の成果だと実感しています。もちろんできなかったことも多いですが、プロジェクト型の仕事は人の成長を期待する成果の1つに置くべきだということも確信しました。
『プロジェクトが終わったときに人が育っていなければならない』『システム投資は人に対する投資である』というのが私の信念であり、これは白川さんから影響を受けているのですが、プロジェクトが終わって振り返ってみると、やはり正しかったと思うのです。
RIZAPのCIOを務めていた岡田章二さんも、システムがどんどん入れ替わっていく一方で、変わらないのは『人の強さ』『組織の強さ』であるとおっしゃっていました。
『組織の戦闘力をいかに高められるかがわれわれの仕事である』と話していて、まさにその通りだと思いました。今回、プロジェクトが終わった後にも、皆が集まってフランクに話ができたことで、やはり『最も重要なのは人』ということを改めて実感しました。
人の成長は社内に限りません。北米型システム投資をしてみて日本企業のシステム投資についての問題点について直面することになりました。既存のシステム産業構造、いわゆる「多重下請け構造」と「人月派遣モデル」について、長年抱いていた違和感が確信に変わりました。
現在、あるべきシステム開発の姿に合っていないだけではなく、そこに働く“人”の価値を毀損するのではないかと。ユーザー企業だけではなく、パートナー企業も含めて変わる必要がある。筋の良いシステム投資というのは、そこに働く人の成長を促す効果があるものではないかと思います」(中野氏)
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