2019年を総括する4つのキーワード「DX」「ハイブリッドクラウド」「シェアリングサービス」「データ保護」を解説しよう:Weekly Memo(1/2 ページ)
今回は年内最後のWeekly Memoなので、2019年のエンタープライズ/コマーシャルIT市場において印象に残ったトレンドとして4つのキーワードを挙げ、その理由やポイントを述べたい。
2019年もあと1週間余り。そこで今回は、エンタープライズ/コマーシャルIT市場において印象に残ったトレンドとして4つのキーワードを挙げ、その理由やポイントを述べたい。
4つのキーワードとは、「デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)」「ハイブリッドクラウド」「シェアリングサービス」「データ保護」である。いずれもトレンドになった話題としてだけでなく、具体的な動きとして注目した。
筆者が考える「DX」の本質
1つ目の「DX」は、略語としてもすっかり定着するほど、2019年は話題に上った。ベンダーもユーザーも本格的にDXに取り組む姿勢を見せるようになり、まさに「時の言葉」となった感がある。では、DXの最大のポイントは何か。筆者はさまざまな取材から次のように捉えている。
あらゆる産業分野でDXが進展する中、AIやIoTなど、従来なかったデジタル技術の活用が進むと、それまであった産業同士の境界が崩れ、産業そのものに“ゲームチェンジ”が起こる。これが“ディスラプション(創造的破壊)”という動きだ。こうした大きな流れを認識すれば、全ての企業にとってDXを推進することが生き抜くための重要課題だという点が分かる。
そのDXに今求められているのは、単なるツールとしてのIT活用ではない。ディスラプションに対応するため、デジタル技術を活用して新たな価値を創造できるように、ビジネスモデルやビジネスプロセスを戦略的に転換することである。すなわち、企業にとってDXは“ビジネストランスフォーメーション”そのものなのである。
2020年は、DXによってビジネストランスフォーメーションに成功する企業が続々と出現することを期待したい。
AWSすらも「ハイブリッドクラウド」を語る時代
2つ目に「ハイブリッドクラウド」を取り上げたのは、ハイブリッドクラウドがクラウド基盤の利用形態として主流になってきたからだ。クラウド基盤の利用形態については、パブリッククラウドとオンプレミスで運用している基幹系システム、あるいはそれを移行した形のプライベートクラウドを連携させて利用するハイブリッドクラウドの需要が増えている、との見方が大勢を占める。
筆者にとって特に印象深かったポイントは、パブリッククラウドサービスで先行するアマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)が2019年6月に開催した年次イベントで、オンプレミスからクラウド活用へのステップとして、これまでほとんど触れてこなかった「ハイブリッド」を段階の1つとして明示したことだ。もっともAWSにとっては、パブリッククラウド化への通過点との見方のようだが(図1)。
詳しくは、2019年6月17日掲載の本連載記事「ゴールを明確にせよ――AWSが説く“クラウドジャーニーの勘所”」をご覧いただきたい。
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