大阪リージョン発表のAWSが日本企業のクラウド利用に見る「DXに向けた変化」とは:Weekly Memo(1/2 ページ)
AWSジャパンがクラウドサービスにおけるユーザー企業への支援を一段と強化している。その背景に、ITとDXへ向けたユーザー企業の取り組みの変化が見て取れる。
AWSが語った「ユーザー企業の取り組みの変化」
「クラウド利用に対するお客さまのニーズがここにきて変わってきている」――。こう語るのは、Amazon Web Services(AWS)の日本法人であるアマゾンウェブサービスジャパン(AWSジャパン)社長の長崎忠雄氏だ。同社が先頃開いた事業戦略会見でのひとコマである。
同会見では、「AWSが2021年初頭に大阪リージョンを開設、ソニー銀行は全業務をAWSに移行」がニュースになったが、筆者は長崎氏の話から「ユーザー企業の取り組みの変化」に注目した。
まずは同氏の冒頭の発言にある「クラウド利用に対するユーザーニーズ」だ。具体的にどう変わってきているというのか。
「クラウドはこれまでコスト削減が最大のユーザーニーズだったが、ここにきて、『変化に素早く対応してビジネスを変革したい』『イノベーションし続ける組織に変えていきたい』というニーズが急速に高まってきている」
同氏はさらに「アプローチの違いで言えば、コスト削減はあくまでもシステムのマイグレーションの話だが、ビジネス変革やイノベーションはこれまでのやり方をガラリと変えていくトランスフォーメーションの話。多くのお客さまがここにきてトランスフォーメーションに取り組み始めたと実感している」と強調した。
この説明の流れで、長崎氏は図1を示した。AWSには同社のクラウドのテクノロジーやサービスの中身を修得する認定制度があるが、ユーザー企業において、その認定取得比率が全体の54%となり、2019年は2017年に比べて3.9倍に急増したことを表したグラフである。
この動きについて同氏は、「これまではシステムインテグレーター(SIer)をはじめとしたパートナー企業の取得比率が高かった。使いたいときにすぐ使え、やりたいことがすぐにでき、失敗しても低コストといったクラウドの利点がユーザー企業にも受け入れられるようになり、直接使っていただけるようになってきた」と説明した。
こうしたユーザー企業の取り組みの変化に対し、AWSが発信するメッセージも変わってきた。長崎氏は、2019年12月に米国で開催されたAWSのイベントでCEOのアンディ・ジャシー氏が語った「トランスフォーメーションを成功させるために経営者層がとるべきリーダーシップ4か条」を紹介した。図2がそれである。
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
- AWSが2021年初頭に大阪リージョンを開設、ソニー銀行は全業務をAWSに移行
Amazon Web Servicesは、2021年初頭に大阪にAWSリージョンを開設する。3つのアベイラビリティゾーンで構成する。この発表を受けてソニー銀行は、AWSの利用範囲を、勘定系を含む全業務に拡大する。 - 2019年、AWS以外が「マルチクラウド」をあおった理由――相次いだ買収劇と勢力図の変化を解説しよう
競合同士による協業やクラウドベンダーによる他社の買収劇が相次いだ2019年。読者がよく耳にしたのが「マルチクラウド」「コンテナ」といった用語だったのではないか。その裏側には、これまでの競争の形を大きく変えた各ベンダーの思惑がある。 - 2019年を総括する4つのキーワード「DX」「ハイブリッドクラウド」「シェアリングサービス」「データ保護」を解説しよう
今回は年内最後のWeekly Memoなので、2019年のエンタープライズ/コマーシャルIT市場において印象に残ったトレンドとして4つのキーワードを挙げ、その理由やポイントを述べたい。 - 自社をAWSのデータセンターとして使える「AWS Outposts」正式リリース 日本国内でも利用可能
AWSは、2019年7月にアナウンスしていた「AWS Outpost」を正式にリリースした。クラウドインフラと同等のシステムをオンプレミスに持ち込み、パブリッククラウドと連携したハイブリッドクラウドを実現できるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.