NECが挑む「ITエンジニアからDXコンサルタントへのシフト」は奏功するか?:Weekly Memo(1/2 ページ)
NECがDX事業の強化を発表した。筆者が注目したのは、これまでITエンジニアだった人材をDXコンサルタントに育てようとしている点だ。多くのIT企業が頭を悩ませているこの問題に、同社は真っ向からチャレンジしている。果たして奏功するか。
NECのDX事業で強化された3つのポイントとは
NECは先頃、デジタルトトランスフォーメーション(DX)事業の強化についてオンライン形式で記者会見を行った。強化のポイントは、「コンサルテーション体制の強化」「DXオファリングメニューの整備」「NECデジタルプラットフォームのグローバル展開」の3つだ。
同社でDX事業の責任者を務める吉崎敏文氏(執行役員)は「2019年度から本格的にスタートした当社のDX事業について、私が会見するのは今回で3回目。定期的に、外に向けても私たちの活動を広くお伝えしていくことが非常に重要だと考えている」と話した。
ちなみに、2019年の会見は6月と11月に行われ、いずれも本連載で取り上げているので参照していただきたい。過去2回の会見で話された内容の延長線上に、今回発表となった取り組みがある。
では、今回の3つの強化ポイントについて、吉崎氏の説明を基にそれぞれ概要を紹介しておこう。(図1)
1つ目の「コンサルテーション体制の強化」は、デジタルシフトの在り方やロードマップなどのDX戦略について、顧客目線で検討、支援するためのメニューやメソッドを整備し、戦略コンサルタントやビジネスデザイナーによる専門家チームが支援するものだ。
同ポイントのアプローチは2つある。まず、戦略コンサルタントが顧客企業のCxOレベルの相談役としてDX戦略や構想を検討し、共に目指す姿を描きながらデジタルシフトを推進する。
もう1つのアプローチは、ビジネスデザイナーによる「フューチャークリエーションデザイン」を整備するものだ。顧客企業による抽象的な課題を定義し、具体的なプロトタイプによる検証まで実施することで、迅速なデジタルシフトにつなげる。(図2)
2つ目の「DXオファリングメニューの整備」は、顧客企業の経営課題を基に、NEC全社の知見を集結した価値提供モデルをDXオファリングメニューとして整備する。DX戦略や構想の策定から業種別ビジネス、人材育成までをカバーし、社会の変化に合わせてスピーディーに顧客企業のビジネス変革を実現するという。(図3)
3つ目の「NECデジタルプラットフォームのグローバル展開」は、DXに必要な生体認証・映像、AI、セキュリティ技術などのを統合基盤であるNECデジタルプラットフォームをグローバルで提供開始した。プラットフォームの内容については2019年11月に発表済みだ。
今回、NECは国内外のプラットフォームを1つのアーキテクチャに統合し、日本、米国、インドの3カ国でのサポート体制を構築することで、グローバルなビジネス展開を可能にしたとしている。
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