デジタルビジネスに挑む企業の“映し鏡”に――NECの新たな取り組みは奏功するか:Weekly Memo(1/2 ページ)
NECがデジタルビジネスのさらなる促進に向けて、新しい組織やビジネスの仕組みを発表した。これから多くの企業がデジタルビジネスに挑む中で、同社の新たな取り組みはさまざまな観点で参考になりそうだ。
デジタルビジネスのさらなる促進に向けた新たな取り組み
NECが2019年6月21日、デジタルビジネスのさらなる促進に向けた新たな取り組みとして、生体認証・映像分析事業のデジタルフレームワーク「デジタルHub」を整備したと発表した。また、その一環として生体認証・映像分析統合プラットフォームを北米で2019年7月に先行提供し、2019年内には日本をはじめグローバル展開していく予定だ。この取り組みにより、生体認証・映像分析事業について2021年度(2022年3月期)までにグローバルで1000億円の事業規模を目指す構えだ。
発表会見には、上記の取り組みを推進する組織として2019年4月に新設された「デジタルビジネスプラットフォームユニット」で事業責任者を担う吉崎敏文執行役員と、生体認証技術を推進する今岡仁フェローが登壇。日本IBM執行役員でWatson事業の責任者だった前職から2019年3月にNECへ転身した吉崎氏と、2019年に史上最年少でNECフェローに就任した今岡氏のフレッシュなリーダー二人が、取り組みの内容を説明した。
吉崎氏によると、NECはこれまでもデジタルビジネスを推進してきており、生体認証・映像分析の領域では現在、約70の国や地域で1000システム以上の導入実績があるという。
人を特定する技術である生体認証は、複数の技術をマルチモーダルに組み合わせることで、精度だけでなく利便性が向上し、さまざまな利用シーンで身体を「鍵」や「存在の証明」として活用できる。これに、映像分析技術を組み合わせることで、生体認証で特定した人の動作や周辺状況を理解することが可能になる。こうした技術の活用をパブリックセーフティ領域に加えて、個人認証から地域活性化に向けたおもてなしまで、社会のさまざまなシーンに広げていくことで、社会の安全、安心、利便性の向上を進めていこうというのが、この取り組みにおける同社の基本的な考え方である。
図1はその考え方を、横軸に「機能」、縦軸に「広がり」として、「お客さまの視点で何に使えるのかを描いたもの」(吉崎氏)だ。すなわち、生体認証・映像分析を活用したデジタルビジネスのソリューション体系を表したものといえる。後ほど解説するが、NECにとってこの図は、非常に大きな意味がある。
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