SaaS専業ベンダーとしてSalesforceに次ぐ存在になれるか――ServiceNowの新たな戦略とは:Weekly Memo(1/2 ページ)
ITサービス管理を中心としたクラウドサービスを提供するServiceNowが、新たな戦略展開を図ろうとしている。SaaS専業ベンダーとしてSalesforce.comに次ぐ存在になれるか。同社の次なる一手とは。
ServiceNowは企業ITの「Platform of Platforms」
「自動化できる仕事はITに任せ、人間は付加価値の高い業務に専念できるようにする。これがServiceNowの目指すところだ」
こう語るのは、ServiceNow Japanの高山勇喜氏(執行役員ソリューションセールス統括本部長)だ。同社がこの1カ月余り、5回にわたって事業内容のオンライン記者説明会を開いた1回目の冒頭で強調したメッセージである。「ServiceNow」という社名でありサービス名は、ここでいう「Service」としてのITを今「Now」すぐに届けたいという、まさしく直訳の意味だ。
ServiceNowは、ITから人事、カスタマーサービスまで企業全体に跨るさまざまなワークフローを構築することで、より良い働き方を支援するクラウドサービスを提供し、2004年の創業以来、着実に存在感を高めてきた。米国本社の売上高は2019年度(2019年12月期)で34億6000万ドル。2020年度(2020年12月期)で42億ドル台を見込み、Salesforce.com(以下、Salesforce)に次ぐSaaS専業ベンダーとして頭角を表してきた。
一方で、サービス領域の拡大に伴い、同社の全体像が捉えにくくなってきた面もある。そこで、サービスの概要と特徴、今後の戦略展開について、今回の説明会から探ってみた。
現在のServiceNowの全体像はどのようなものか。まず全体の考え方として、さまざまなシステムを使う会社のイメージとして図1を見ていただきたい。中段にある各業務部門を共通で支えているのが、ServiceNowのプラットフォームだ。下段には各業務部門が複数利用している既存のシステム、上段にはそれを利用する社員などの「人」が描かれている。
この図1のポイントは、例えば社員が何らかの社内情報を探そうとしたとき、関連の部署やシステムに自らアクセスしなくても、ServiceNowのプラットフォームに問い合わせればスピーディーかつ的確に目的を果たせるというところだ。各部署の既存システムもそれぞれの業務のプラットフォームと目されていることから、ServiceNowは図1の通り「Platform of Platforms」と位置付けられる。このように会社で利用するシステムを全て包み込むイメージから、高山氏は「ServiceNowは一言でいえば“ラッピングシステム”」と説明した。
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