富士通の大改革にみる「日本企業のDXの勘所」とは? DX推進役へのインタビューから読み解く:Weekly Memo(1/2 ページ)
富士通が全社DXプロジェクトに取り組み始めた。多くの日本企業からもDX推進のケーススタディとして注目が集まる。なぜDX企業に変わるべきなのか。全社員がDX人材になる必要があるのか。DX推進役を担うキーパーソンの話から読み解きたい。
なぜ富士通はDX企業に変わるべきなのか?
「必要な手だては全て打った。これから効果がどのように上がってくるか、注視している」――。こう語るのは、富士通の全社DX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクト「Fujitsu Transformation(通称:フジトラ)」の推進役を担う福田 譲氏(執行役員常務 CIO兼CDXO補佐)だ。(写真1)
フジトラは、富士通がデジタル時代の競争力強化を目的として、製品やサービス、ビジネスモデルに加えて、業務プロセスや組織、企業文化、風土を変革することを目指した社内プロジェクトで、2020年10月から本格始動した。対象はグループ社員13万人に及ぶ。
その詳細な内容については関連記事をご覧いただくとして、本稿では、富士通のこのプロジェクトが他の日本企業のDX推進におけるケーススタディーになり得ることも踏まえ「なぜDX企業に変わるべきなのか」「全社員がDX人材になる必要があるのか」「社員をどうやって奮い立たせるのか」といった根本的な点について話をうかがいたく、オンライン取材を申し入れたところ、福田氏が先週、快く応じてくれた。冒頭の発言は、フジトラがスタートして間もない今の心境を述べたものである。
ではまず「なぜDX企業に変わるべきなのか」についてだ。
富士通はDX企業を「デジタル技術とデータを駆使して革新的なサービスやビジネスプロセスの変革をもたらす企業」と定義している。福田氏によると、なぜDX企業に変わるべきなのかは、この定義に集約されている。というのは、この内容そのものが今もっとも求められている市場ニーズだからだ。
「私たちが定義したDX企業は、自分たちだけでなくお客さまに対してもそうした価値を提供できる企業に変わりたいという思いを込めている。逆にいうと、従来通りでは変われないことを自覚して臨む必要がある」(福田氏)
とはいえ、上記の定義の内容だけではどうもピンと来なかった筆者に対し、福田氏はフィジカルとデジタルの競争軸を縦と横にした4象限の図1を示しながら、次のように説明した。
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
- 生まれ変わる富士通、予算1000億の組織改革プロジェクトの中身は
DX人材を呼び込んできた富士通が、ついに社内の大改革プロジェクトをスタートさせた。柱は4つ、総額1000億円を投資して、パーパスドリブンな組織を本気で目指すという。 - 小売業のDXを強力に推進 富士通が業務アプリ構築クラウドサービスを提供開始
富士通は、スーパーマーケットやドラッグストアなどの小売業者のデジタルシフトに向け、店舗業務に関わるアプリをクラウドで提供する「Brainforce」を提供開始した。第1弾として、レジを通さずスマホで買い物が完結する“ウォークスルー決済”などの仕組みを提供する。 - 富士通の総務、人事チームとDX専門集団が新常態への変革を支援 「FUJITSU Work Life Shift」の全貌は
富士通が、自社グループ8万人に実践するテレワークやオフィス半減などのニューノーマル対応施策の成果をサービスとして体系化した。定着支援では自社の総務、人事担当者もプロジェクトにコミットするという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.