“新常態”オフィスワークのDXをどう進めればいいのか ニーズの違いから読み解く:Weekly Memo(1/2 ページ)
ニューノーマル時代に向けたオフィスワークのDXは、どのように進めればよいか。日鉄ソリューションズが発表した対応サービスの基となる提案から読み解いてみたい。
デジタル技術を活用した新しい多様な働き方へ
デジタルトランスフォーメーション(DX)は全社におけるビジネスおよびマネジメントを変革の対象とするが、その実践についてはさまざまな切り口がある。中でも働き方改革に向けた「オフィスワークのDX」は、どの企業も取り組むべき最も重要な課題だ。
大手システムインテグレーター(SIer)の日鉄ソリューションズ(以下、NSSOL)は2020年11月4日、新たなコンサルティングサービスの提供を開始すると発表した。その基となる考え方や提案から、オフィスワークのDXをどう進めればよいか、読み解いていきたい。
オンラインでの発表会見で説明に立ったNSSOLの法兼尚志氏(ITインフラソリューション事業本部 デジタルプラットフォーム事業部長)は、まず新型コロナウイルスの感染防止策として広がった在宅勤務に象徴されるように「働き方が一変した」とし、「緊急事態宣言下の状況は乗り越えたものの、ロケーションやデバイスにとらわれない柔軟な働き方が求められるようになってきた」との見方を示した。
この動きに関連する調査結果がある。法兼氏によると、日本経済団体連合会(経団連)が2020年4月に「コロナ禍でどれくらいの企業が在宅勤務をできたのか」について調査したところ、緊急事態宣言下で導入した企業の割合が98%に達した一方、従来オフィスで実施していた業務を「8割以上(自宅で)遂行できた」と答えた在宅勤務者は36%にとどまった。その後、利用環境が改善しつつあるとの話も聞くが、全産業の状況を見ると、在宅勤務が定着したとは言えない。
なぜか。法兼氏はその理由として「紙を扱う業務がある」「社内システムにアクセスできない」「ディスカッションしづらい」「社内ほどPCがサクサク動かない」といった点を挙げた。その一方で、企業として在宅勤務を定着させるためには、図1に示すようにITやオフィスの環境を指す「ツール」だけではなく「業務」のプロセスや内容、法や社内規定などの「制度」への対応も見直す必要があると指摘した。
その上で、同氏は今回のテーマであるオフィスワークのDXについて、図2を示しながら「デジタル技術を活用した新しい多様な働き方へ変わっていく」と説明。「生産性」「新しい組織風土」「テクノロジーの活用」が、新しい働き方の重要なポイントになると強調した。
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
- 中小企業のDXは「SaaS」だけで実現できる――セールスフォースの新施策が示す可能性
企業のITにクラウドサービスが使われるようになってきた中で、特に中小企業においてはSaaSで全てカバーできるのではないか。筆者はかねてそう思ってきたが、セールスフォースの新施策を聞いて、その意を一層強くした。どういうことか、解説しよう。 - ガートナーがCIOアジェンダ・サーベイ発表 先進企業に学ぶ4つのアプローチ
ガートナーは、世界のCIOを対象にした調査「2021年CIOアジェンダ・サーベイ」の結果を発表した。同社は、CIOがデジタルビジネスで機会をつかむ4つの方法について解説した。 - IBMがCOVID-19のビジネスに対する影響調査を発表 経営層の今後の方針は
IBMは、約3800人の経営層を対象とした調査「新型コロナウィルス感染症はビジネスの未来をいかに変えるか」の結果を発表した。COVID-19の感染拡大を受けてDXを推進したと回答した企業は60%に上った。 - これは、2020年以降も続く挑戦だ――新卒採用と研修を完全にオンライン化した企業の気付き
2020年に大きな変化を余儀なくされた業務の一つが、新卒採用および新卒研修だ。全社テレワークを決めたことで、採用と研修を「全面オンライン化」した企業の担当者が、その方法やメリット、デメリット、今後の課題について率直に語った。今後の働き方の変化を見据える同社のより深い挑戦とは。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.