2021年、DXの進展に向けた意気込みは?――各社トップの年頭メッセージから探る:Weekly Memo(1/2 ページ)
2021年、エンタープライズIT分野の最大のキーワードは、2020年に引き続き「DX」だろう。さらなる進展に向けたポイントは何か。企業団体やITベンダートップの年頭所感から探ってみたい。
経団連会長、商工会議所会頭がDXの取り組みを強調
本連載「Weekly Memo」も今回で636回目となり、13度目の新年を迎えた。改めて読者諸氏に感謝申し上げたい。
2021年の初回は、今年も最大のキーワードになるであろう「デジタルトランスフォーメーション(DX)」の進展に向けて、企業団体やITベンダートップの年頭所感から印象深かったメッセージを幾つか取り上げたい。
まずは、多くの大手企業が加盟する日本経済団体連合会(経団連)会長の中西宏明氏(日立製作所会長)のメッセージを紹介する。同氏は、DXが2021年をコロナ禍からの復活の年とするための大きなカギになるとして、次のように述べている。
「コロナ禍により、行政、医療、教育などの分野におけるデジタル化の遅れや一極集中による脆弱(ぜいじゃく)性が明らかになった。ポストコロナ時代に日本が生き残るためには、経済社会のあらゆる分野においてDXに集中的に投資するとともに、既存の規制や制度を抜本的に見直し、デジタル技術の開発、実装、普及を前提としたものに作り変える必要がある」(中西氏)
中西氏の経団連会長としての新年メッセージには毎年注目しているが、今回は一段とDXに対する思い入れを感じる内容だった。
次は、多くの中小企業が加盟する日本商工会議所会頭の三村明夫氏(日本製鉄名誉会長)のメッセージだ。同氏は、商工会議所が日本全体の生産性向上への重要な取り組みとしてDXを挙げているとした上で、次のように述べている。
「コロナ禍で初めてテレワークを体験し、デジタル技術の有用性に気付いた経営者も多いと思う。また、国や地方公共団体が今後デジタル化を進める中で、民間企業側もそれに対応していく必要がある。まずは身の丈に合った、低コストで利用可能なIT導入から始め、徐々にステップアップするなど、IT導入補助金等の支援策もフル活用し、中小企業のデジタル化を推進していく」(三村氏)
本連載でも「『全国中小企業クラウド実践大賞 全国大会』にみる3つのクラウド活用ポイント」(2020年2月17日掲載)で取り上げたように、商工会議所はDXについて活発な取り組みを実践している。中小企業にとって「DXで生産性向上を」というメッセージは分かりやすいものだろう。
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