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長岡市、自治体DXに向けたデジタル化推進 3年目の成果

地方自治体の業務や手続きのデジタル化が徐々に成果を現しつつある。2018年からデジタル化を推進してきた長岡市は、初年度に想定の20倍の成果を出したという。同市における3年間の取り組みの成果を見てみよう。

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 「自治体DX」という言葉をよく耳にするようになったが、多くの自治体はデジタルトランスフォーメーション(DX)の手前の「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」がようやく本格化してきた段階にある。中でも最近はAIやRPA導入の成果を耳にするようになってきた。

 自治体の業務には法令で定められた「書類」「申請書」を前提とする手続きが多く残る。個人情報のようなミスが許されない情報を大量に扱うことも多いため、紙の資料を手入力で登録してはダブルチェックが必要とされる業務も多く非効率が指摘されたきた。

 こうした業務の多くは紙の書類を前提とした定型作業であることから、画像や文字認識を得意とするAIやRPAを使うことで効率化できる。総務省はICT政策の一環として2019年から利用を促進している。総務省はさらに2020年12月「デジタル・ガバメント実行計画」に呼応する「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」を策定し、行政サービスのオンライン化などと併せてAI、RPAの活用を更に推進する計画だ。


都道府県の85%、政令指定都市の70%が導入済みだった。その他自治体の導入済みは18%にとどまったが、導入予定〜導入検討中を含むと50%以上が導入に取り組む状況が明らかになっている(総務省「地方自治体におけるAI・RPAの実証実験・導入状況等調査」)

 ひとことで「自治体のRPA導入」と言っても、自治体ごとに業務フローが異なっており、導入主体も自治体単位であることから、導入方法や適用方法も自治体ごとに特色がある。NTTデータ主催の年次イベント「NTT DATA Innovation Conference 2021」でも自治体の業務改革の実例が紹介された。本稿ではそのうち、年間約2000時間の業務効率を改善した長岡市のケースを見ていく。

300件もの「市役所らしい」効率化の要望が殺到、1年で想定の20倍の成果を示す

 人口約27万人で新潟県第二の都市である長岡市は、2018年から「長岡版イノベーション」を掲げ、産業活性化、起業や創業の支援、変化に対応する人材の育成、そして行政サービスの改善の4つをテーマに市政を推進する。長岡市役所の加藤俊輔氏(地方創生推進部イノベーション推進課 課長補佐)が、同市役所全庁に展開したデジタル化の取り組みを紹介した。


長岡市役所 加藤俊輔氏

 加藤氏が所属するイノベーション推進課は、市民サービス向上と行政事務の効率化を進める部署として2018年に発足した組織だ。発足してすぐ、行政事務の非効率のありかを探り、課題を洗い出すため、全ての局から業務課題を募った。

 いざ各部署から業務課題を募ってみると、約300もの課題が挙げられたという。実務に当たる職員から寄せられた意見には「いかにも市役所らしい」ものも含まれていたという。

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