内製化、DXの主導権は誰が持つ? 調査から考える日本企業のDX推進体制の収まり所
DX推進のパートナーは同業者か、スタートアップか、はたまた未知の存在か。ITmedia エンタープライズ編集部が実施した読者調査からは、日本企業のDX推進体制の最適解が見えてきた。
ITmedia エンタープライズ編集部は「読者調査2021DX編」を実施した。媒体読者を対象にオンラインのアンケート形式で回答を募り、346件の回答を得た(調査期間:2021年1月21〜29日)。
前回の記事ではDX推進プロジェクトにおけるプロジェクトオーナーと実務担当者との間のDXイメージがかい離する状況などを見てきた。今回はデジタルビジネス推進のパートナーをどう見ているかを深掘りしてみていく。
DXは「業績に貢献していない」の割合が高いことは健全か
DXの業績貢献を尋ねた設問では、「新しい商品・サービスの創出」と「貢献していない」が同スコア(28.3%)でトップとなった。「顧客への価値提供に関わる革新」は23.1%、「情報活用による意思決定の迅速化」は22.0%だった。
DX推進は必ずしも直近の業績に貢献する取り組みではない。特にコストをかけたPoC(概念実証)を繰り替えすフェーズが続くとコストはかさむものの、収益貢献は難しく、その点を織り込んでプロジェクトを推進する必要がある。この意味で、この設問の回答のトップを「新しい商品・サービスの創出」と「貢献していない」が占めたというこの調査結果は、健全な状況といえるかもしれない。4分の1近い回答者が顧客価値の革新や意思決定スピード向上を挙げた点もよい材料と言えるだろう。
ただし、自由回答でDX推進の課題を尋ねたところ、「すぐに効果が見えにくい」「成果が出る数年先まで、経営陣が待てるか」といった点を危惧する意見も寄せられていることも付け加えておく。
業績貢献では、トップ2項目に次いて「働き方改革」(27.8%)が挙がった。「生産性向上につながる画期的なプロセス改革」も25.7%と高いスコアだった。
デジタルビジネス推進のパートナーは同業者かITパートナーか
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