Google Cloudは競合と何が違う? 5つのポイントから探る:Weekly Memo(1/2 ページ)
Google Cloudが自社イベントでクラウドサービス「Google Cloud」の最新動向について説明した。どう進化したのか。競合するクラウドサービスと何が違うのか。ビジネス戦略を中心に筆者なりの視点で5つのポイントを挙げてみたい。
Google Cloudは自社イベント「Google Cloud Day:Digital '21」(2021年5月25〜27日にオンラインで開催)初日の基調講演で、クラウドサービス「Google Cloud Platform」(以下、GCP)の最新動向やユーザー事例について説明した。
この1年で、GCPはどう進化したのか。特にハイパースケールのIaaS(Infrastructure as a Service)領域で競合する「Amazon Web Services」(以下、AWS)や「Microsoft Azure」(以下、Azure)と比べて何が違うのか。そうした視点でビジネス戦略を中心に5つのポイントを挙げたい。
Google Cloudの「見せ方」に現れた変化
1つ目は、Google Cloudの「見せ方」の変化だ。これまではGoogle Cloudについて特に代名詞はなかったが、今回のイベントでは「トランスフォーメーションクラウド」と銘打った。
その意味についてGoogle Cloud日本代表の平手智行氏は、「新型コロナウイルスの感染拡大やデジタルトランスフォーメーション(DX)に対応するため、多くの企業がこの1年余りで変革(トランスフォーメーション)を考え、動き出した。Google Cloudはそうした企業を支援するための『トランスフォーメーションクラウド』として役立てていただいている」と説明した。
その中身は、AIやアナリティクスによってデータを活用する「データクラウド」、さまざまなクラウド利用形態に対応する「オープンクラウド」、生産性やコラボレーションを実現する「ピープルクラウド」、高い信頼性と拡張性を提供する「トラステッドクラウド」の4つからなる(図1)。
こうした見せ方に、筆者はGoogle Cloudがプロモーションに本腰を入れ始めたと感じた。競合するクラウドサービスもこれらの要素については相応の内容を備えているが、Google Cloudの今回の見せ方には、競合に対抗し、これまで以上にビジネス拡大への意欲を感じさせるものがあった。
2つ目は、上記の4つの中でもデータクラウドを前面に出していることだ。Google Cloudの寳野雄太氏(技術部長)は、「DXにおいてはデータを活用して意思決定の精度やスピードを上げる必要がある。そのためには、AI、アナリティクス、トランザクションの3つの最新技術を備えたクラウドが求められるようになる」と説明した(図2)。
これまでGoogle Cloudを導入した企業の多くが、Googleが持つAIやアナリティクスなどの最新技術を活用できることを採用理由に挙げてきた背景からすると、Google Cloudにとってはデータクラウドが一番の強みとなる。見方を変えれば、これまではAIやアナリティクスといった技術用語をそのまま使っていたが、データクラウドという「利用形態」に言い換えたことで、ユーザーに近寄ったメッセージを発信しようという意図がうかがえる。
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