ペプシの車両“グリーン化”戦略 なぜ「リスク大」の開発に投資するのか?:Transport Dive
食品・飲料の大手のペプシは2030年までに温室効果ガス排出量の75%削減に取り組む。同社の戦略がユニークなのは、そのために必要な機器開発の初期段階から投資していることだ。なぜ大きなリスクをとってまでグリーン化に取り組むのか。
大企業の将来に向けたスケーリングにとって経営陣の賛同は不可欠だ。「PepsiCoは北米で7万台以上の車両を保有している」と、2022年2月に開催されたウェビナーでPepsiCoのエミリー・コンウェイ氏(フリートサステナビリティマネジャー)は述べた。食品・飲料大手のPepsiCoが保有する車両にはクラス2bのバンからクラス8のトラックまでが含まれる。物流と貨物輸送専門メディア「Transport Topics」では北米最大の民間が所有する車両として紹介された(注1)。
これらの車両の燃料効率の向上と汚染(物質排出量の)低減は、同社が長年にわたって目標としてきた指標だ。PepsiCoは、ディーゼルトラックの燃費を向上させるために、空気力学デバイスや軽量化機器などを利用した施策を長年にわたって統合してきた。
しかし、それだけでは十分ではない。
大量の車両をどうグリーン化する? 現在の技術では不十分な理由
2022年2月22日に開催された環境コンサルタントであるGladstein, Neandross & Associates主催の「The State of Sustainable Fleetsプログラム」(注2)で、コンウェイ氏は「(こうした施策は)現時点では通常の業務の範囲内だ。これが業界の変革につながるとは思わない」と述べた。
PepsiCoは、2010〜2012年にかけて300台の旧型電気自動車をテストした経緯がある。同社は2030年までに輸送の際に発生する直接排出量を75%削減する目標を掲げており、現在の車両から最新の車両に移行する必要がある。
しかし、車両の大規模な電化は、OEM(Original Equipment Manufacturing:他社製品を製造する会社)に単に発注するよりも難しい。バッテリーや水素の技術は、コストと運用の点で十分に実用化できるほどには発達していない。また、(充電ステーションや水素ステーションといった)インフラも必要な規模が整備されるにはまだ時間がかかる。
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