「GovTech東京」とは? 東京都が進めるDX推進策の本気度
コロナ禍で行政機関のデジタル化の遅れが浮かび上がる中、東京都はDX推進強化に向けた「GovTech(ガブテック)東京」構想を発表した。官民協働によるオープンイノベーションを強調するこの取り組みで都は何を進めようとしているのか。
東京都は2022年9月9日、「東京のDX推進強化に向けた新たな展開」と題したイベントを開催し、「GovTech東京」構想を発表した。2023年の発足を目指す「GovTech東京」は、高度なデジタル人材を活用し、行政と民間が“協働”する場を目指すという。
同イベントで実施されたトークセッションには東京都の小池百合子知事、宮坂学副知事に加えてサイボウズの青野慶久社長がゲストとして参加した。「GovTech東京」構想への感想を求められた青野氏は「東京都民で良かった」とコメントし、会場を沸かせた。
テック企業の創業社長は同構想のどこに期待し、実現に向けて何をアドバイスするのか。小池知事、宮坂副知事による「GovTech東京」構想の説明とともに見ていこう。
「青野さんの“うれし涙”が“悲しい涙”に変わらないように」
小池都知事は2021年4月のデジタルサービス局を新設や、2021年4月に施行した「東京デジタルファースト条例」などこれまでの取り組みを振り返りつつ、「(「GovTech東京」は)東京都のDXを次のステージへステップアップするための新たなプラットフォーム」と説明した。
「GovTech」は「ガバメント(行政)」と「テクノロジー(技術)」を掛け合わせた造語だ。「さまざまな行政課題をテクノロジーで解決し、行政サービスのイノベーションを生み出していくという強い思いがこもっている」と知事は語る。
「GovTech東京」がオープンイノベーションを強調するのは、海外事例からの学びもあるようだ。IMDが発表する「世界デジタル競争力ランキング 2021」で4位のデンマークはITコンサルティング会社のKOMBITから、14位の英国のロンドンはITコンサルティング会社のLOTIから行政サービスのデジタル化について支援を受けている(ちなみに日本は28位)。
「こういう海外の事例からも学ぶと同時に、東京も日進月歩でITの世界が変わっている中で、先を見て準備していかなくてはならない。追い付くだけではダメだと思う」と知事は語った。
「GovTech東京」の6つの機能は次の通りだ。
- 都庁各局DX(政策連携団体含む)
- 区市町村DX
- デジタル基盤強化・共通化
- デジタル人材確保・育成
- データ利活用推進
- 官民共創・新サービス創出
この6つの中で宮坂副知事が特に言及したのが「区市町村DX」と「デジタル人材確保・育成」だ。「この間、区市町村のほぼ全てのCIO(最高情報責任者)と面談した。区市町村はデジタル化(の技術面で)非常に苦労されているので、都庁だけでなく(区市町村を含めた)東京都をデジタル化しなければいけない」
都が区市町村との協働体制を強化するために掲げる新たな取り組みは次の3つだ。
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