2023年のIT需要はどうなるか――富士通とNECに聞いてみた:Weekly Memo(1/2 ページ)
経済の見通しが不透明な中、2023年のIT需要の動きはどうなるか。富士通とNECのCFOに最新の受注状況を踏まえて聞いてみた。
2023年のIT需要はどう動くか。富士通とNECのITサービス大手2社は、2022年度(2023年3月期)第3四半期(2022年10〜12月)の決算を相次いで発表した。今後の需要動向の先行指標となる受注状況に着目するとともに、2023年のIT需要の動きについて、発表会見で両社のCFO(最高財務責任者)に聞いてみた。
富士通のCFOによるIT需要の見通しは
富士通が2023年1月31日に発表した第3四半期の国内受注状況は、全体で前年度同期比96%、第1四半期からの9カ月累計で同99%と微減にとどまった。
ただ、これは「ネットワーク」分野での一時的な動きが影響したもので、同社のITサービスを指す「SI/サービス」は9カ月累計で同105%と堅調に推移している。
こうした受注状況の全体の動きについて、同社の磯部武司氏(取締役執行役 SEVP CFO)はオンラインでの発表会見で、「第3四半期については金融や官公庁向けの大型商談が少なかったが、商談のパイプラインは着実に積み上がっている。第4四半期(2023年1〜3月)は大型商談も控えており、全体および『SI/サービス』として上昇傾向にあると捉えている」との見方を示した。
事業分野別では、エンタープライズビジネス(製造業などの産業、流通、小売)が第3四半期で前年度同期比108%(9カ月累計で同108%)、ファイナンスビジネス(金融・保険)が同89%(同99%)、Japanリージョン(官公庁や社会基盤などのミッションクリティティカル)が同90%(同101%)、富士通Japan(自治体、ヘルスケア、文教、中堅民需)が同101%(同100%)となった。ネットワークは2021年度の大型受注の反動で減少が続いた(表1)。
磯部氏は事業分野別の受注状況について、次のように説明した。
「エンタープライズビジネスは自動車をはじめとした製造業を中心にDX(デジタルトランスフォーメーション)やモダナイゼーションに対する投資意欲が強く、引き続き力強いデマンド(需要)が続いている。ファイナンスビジネスは2021年度第3四半期に大型受注があったことで今回の結果は減少した形になっているが、第4四半期には大型商談も控えておりデマンドは拡大基調だ。Japanリージョンも第4四半期に大型商談を控えており、拡大基調だ。富士通Japanのうち、自治体向けはシステム標準化への対応などで堅調に推移、ヘルスケアもクラウドによる電子カルテの商談が好調に推移した。一方、文教と中堅民需は動きが鈍い状況が続いている」
2023年のIT需要の見通しを聞いた筆者の質問に対しては「2023年のIT需要は、業種にかかわらず、DXを中心としたデマンドが拡大していくと見ている。ここにきて、日本でも多くの企業がDXに本格的に取り組み始めたと実感している」と答えた。
関連記事
- 「Weekly Memo」記事一覧
- SAPジャパンの2023年事業戦略にみる「日本企業のDXの針路」
2022年も早や12月。来るべき2023年に向けて日本企業はDXの針路をどうとればよいのか。SAPジャパンの鈴木洋史社長に「2022年の総括と2023年の戦略」を聞くとともに、その針路についてアドバイスをもらった。 - 日本企業のDXはどこまで進展しているか――ITRの最新調査から探る
日本企業のDXはどこまで進展しているのか。DX関連予算の計上の有無からDXを推進する体制づくり、DX推進によって成果が上がっているかどうかまで、ITRによる最新の調査結果から探る。 - 気付いていない企業は対応もできない 日本企業のデータ課題4つ
DX(デジタルトランスフォーメーション)が進むにつれて、データ活用の重要性が増している。一方で活用までの過程には課題もある。4つあるという日本企業のデータ課題を解決するかもしれないのがNetAppの「NetApp BlueXP」だ。 - 自動車産業は「100年に一度の変化」 各社の取り組みは
自動車業界でデジタルの活用が進む。各社がそれぞれの取り組みを推進しているが、Microsoftはどのように貢献するのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.