東京都と日本マイクロソフトが連携――「行政DXのロールモデル」になるか?:Weekly Memo(1/2 ページ)
東京都と日本マイクロソフトが東京都のDXに向けて連携・協力する協定を結んだ。いわゆる「行政DX」の象徴的な動きで、東京都のみならず全国の自治体へも大きなインパクトがあるのではないか。両者による記者会見から探ってみたい。
「東京都はこれからデジタルの力を大いに活用しながら『東京大改革』を進めていきたい」
東京都知事の小池百合子氏は2023年2月9日、日本マイクロソフトとの連携、協力に関する記者会見でこう強調した。東京都と日本マイクロソフトは同日、「東京全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向けた連携・協力に関する協定」を締結。都政現場における業務改革の実践や都民のQOL(生活の質)向上に資するサービス創出に取り組むとともに、その成果を都全体に波及させることを目指すという。会見には小池氏とともに、2023年2月1日付で日本マイクロソフト社長に就任した津坂美樹氏が、社長として初めて公の場に姿を見せた。
東京都がDXパートナーに日本マイクロソフトを選定した理由は?
両者の連携事項は、「東京のフィールドを生かした先進サービスの創出」「クラウドインフラをベースとした行政DXの推進」「都および区市町村職員の人材育成」「国内外の行政機関などとのネットワーク構築」の4点だ(図1)。
最大の自治体である東京都だけに、今回の両者による連携は「行政DX」の象徴的な動きと見て取れる。東京都のみならず全国の自治体にも大きなインパクトがあるのではないか。記者会見から探ってみたい。
小池氏は協定締結について、「世界的なデジタル先進企業であるマイクロソフトにパートナーとなっていただき大変心強い。早速、具体的な連携を始めたい。まずは行政として圧倒的に不足しているデジタル人材の育成に取り組みたい。公務職場でのデジタルツールの活用とそれを促進する実践的なプログラムを実施する。そうした場を区市町村の職員の皆さんにも利用していただくことで、職員一人一人がツールを使いこなして仕事のやり方そのものを変革していく組織文化にしていきたい」と述べ、次のようなパートナーシップへの期待を示した(図2)。
「2023年度は行政と民間が協働して革新的なサービスを生み出すプラットフォームとなる活動組織『GovTech東京』を立ち上げる。これは都が区市町村と一緒になって“爆速”で東京全体のDXを進めるためのものだ。この取り組みに向けてグローバル企業としての知見や、クラウド、AI(人工知能)などの先進テクノロジーを持つマイクロソフトとタッグを組み、東京全体のDXを強力に推進していきたい」
日本マイクロソフトの津坂氏は小池氏の発言を受けて、「東京都が目指すデジタルガバメントの取り組みに微力ながら貢献する機会をいただいた。当社はこれまでもICT化を促進するために東京都と連携を進めてきたが、今回それをさらに拡大する。パートナーとして都全体のDX推進という重要な取り組みを支援することになり、身が引き締まる思いだ」と述べ、パートナーとしての決意を次のように示した。
「今回の協定では、当社がグローバルで培ってきたDXの知見を基に、テクノロジーにとどまらない多面的な支援を行う予定だ。これにより、東京都の行政業務の進化に向けて包括的に取り組み、都民の皆さまのQOL(クオリティーオブライフ)向上に貢献したい」
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