MicrosoftとOracle、GoogleがAWSとMicrosoft――濃淡が出てきたマルチクラウド連携関係、その行方を読み解く:Weekly Memo(1/2 ページ)
クラウド基盤サービスのマルチ利用を巡って変化が出てきた。MicrosoftとOracleが連携強化するとともに、GoogleがAWSとMicrosoftの両社との連携に注力し始めた。濃淡が出てきたマルチクラウドの関係性の行方やいかに――。
IaaS(Infrastructure as a Service)およびPaaS(Platform as a Service)を指すクラウド基盤サービスを複数利用したいという企業ニーズに対し、有力ベンダーの間で新たな動きが出てきた。マルチクラウド利用はSaaS(Software as a Service)の領域ではかねて進んでいるが、IaaS/PaaS領域でもそれぞれのサービスの特徴を生かした連携が見られるようになった。
MicrosoftとOracleがマルチクラウドで特別な関係に
まず、ホットな話題として取り上げるのがMicrosoftとOracleが2022年7月21日(米国時間)に発表した「Oracle Database Service for Microsoft Azure」だ。2019年から両社が進めてきたマルチクラウド連携をさらに深化させるサービスで、「Microsoft Azure」(以下、Azure)と「Oracle Cloud Infrastructure」(以下、OCI)を快適に接続利用できるようにする。
今回の発表に際して日本オラクルがオンラインで開催したメディア向けブリーフィングに立ったOracleのアンドリュー・メンデルソン氏(Oracle Database Server Technologies担当エグゼクティブバイスプレジデント)は、新サービス投入の背景について次のように説明した。
「クラウドが出現する前、多くのお客さまがMicrosoftのテクノロジーとOracleのデータベースを組み合わせて使っていた。クラウドが使われるようになった今、これまでの利用環境をAzureとOCIの組み合わせで継続し、さらにMicrosoftとOracleの最新テクノロジーを使えるようにしてほしいという要望がここにきて一層強くなってきた」(図1)
今回の新サービスの意味や目的は、メンデルソン氏のこの説明に集約されている。新サービスの内容については速報記事をご覧いただくとして、筆者はブリーフィングの質疑応答で次の2点を聞いた。
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