AIを使った需要予測と計画最適化でPwCら3社が協業
PwCコンサルティングおよびPwCアドバイザリーはALGO ARTISと協業する。3社がそれぞれで開発したAIに基づく需要予測と計画最適化のソリューションを共同で提供する。
PwCコンサルティングとPwCアドバイザリーは2023年2月13日、ALGO ARTISと協業し、3社がそれぞれAI(人工知能)を活用して開発した需要予測と計画最適化ソリューションを、共同ソリューションとして提供開始すると発表した。同ソリューションは、製造やエネルギー、小売、物流、運輸業などの分野におけるサプライチェーン上のさまざまな計画業務を対象とする。
技術投資、経営管理や複雑な生産計画にも「AI経営」を展開
3社は今回の協業を通じてAIを活用した「予測・最適化ソリューションパッケージ」を提供し、顧客企業の収益最大化や競争力向上に向けた計画業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を共同で支援する。
PwCコンサルティングは「AI経営」を提唱しており、状況把握から意思決定や実行までを高速化し、企業の競争力向上を支援してきた。需要予測に向けては、独自開発した機械学習アルゴリズムを使った「Multidimensional Demand Forecasting」(MDF)を提供し、従来型のアプローチでは対応が困難な領域での需要予測を支援してきた。
PwCアドバイザリーは、企業の合併・買収(M&A)や事業再生の分野でAIや高度なデータアナリティクスを活用した価値創造を支援している。特にM&A戦略やデューデリジェンス(適正評価手続き)、投資後の価値創造を目的とした計画策定や実績モニタリングの経営管理サイクルの高度化に取り組んでいる。
ALGO ARTISは、AIソリューション「Optium」を提供し、社会基盤を支える現場実務における運用計画を支援している。生産や配船といった複雑な運用環境に適応でき、人による策定では難しい計画でも最適化可能な技術だとしている。
PwCコンサルティングがAI経営推進に向けた構想および戦略策定と、MDFの開発と提供を担当し、ALGO ARTISがOptiumの開発および提供を担う。PwCアドバイザリーは、需要予測サービスを提供する他、ALGO ARTISと共同で事業計画や財務計画、生産・販売・調達などの計画策定を支援する。3社は今後、さまざまな新領域でのソリューション展開も視野に入れ、戦略的パートナーシップの構築を進めるとしている。
今回の発表に当たり、各社は以下の通りコメントを発表している。
「当社の需要予測ソリューションMDFとALGO ARTISのOptiumによって、経営計画策定時の複雑な問題解決を一気通貫で支援する。単にツールを導入するのではなく、当社やPwCアドバイザリーが長年培ってきた経営課題解決のノウハウによって、企画や業務改革などのコンサルティングサービスも併せて提供する」(PwCコンサルティング 上席執行役員パートナ 藤川琢哉氏)
「事業経営には、高速で予測・計画・実績モニタリングを行う俊敏な経営管理が求められている。そして、M&Aや事業再生は、企業が新しい株主と共に経営管理体制を変革し、データ経営・デジタル経営へと進化する絶好のチャンスだ。ALGO ARTISと当社、そしてPwCコンサルティングが協働することで、より統合的で効果的な経営DXを推進可能だ」(PwCアドバイザリー パートナーDeals Digitalリーダー 加藤靖之氏)
「当社は、従来のソリューションでは解決できない複雑な運用計画の最適化に特化した、Optiumの技術開発とサービス提供を進めてきた。一方で、最適化の前段となる需要予測にも顧客の課題が存在する場合では、必ずしも当社だけでは十分な解決に至らない場合があった。PwCコンサルティングやPwCアドバイザリーの経営コンサルティングの知見に加えて、MDFとの連携によって、このような場合でも一元的に高度なソリューションの提供が可能となり、より幅広く産業の生産性向上を推進できる」(ALGO ARTIS社長 永田 健太郎氏)
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