損保ジャパンが進める「両利きのDX」とは――Google Cloudの講演から探る:Weekly Memo(1/2 ページ)
企業がDXを進める上で重視すべきポイントは何か。DXをどのように進めればよいのか。Google Cloudのイベントでの話から探りたい。
企業がDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める上で重視すべきポイントは何か。DXをどのように進めればよいのか。この問いかけに対し、Google Cloudが2023年5月23〜25日にオンラインで開催したプライベートイベント「Google Cloud Day ’23 Tour in Tokyo」の初日の基調講演で、Google Cloud日本代表の平手智行氏および同社サービスを利用する損害保険ジャパン(以下、損保ジャパン)執行役員CDO(チーフデジタルオフィサー)DX推進部長の村上明子氏から興味深い話を聞いたので、今回はその内容を取り上げたい。
DXを進める上で重視すべき3つのポイント
平手氏は企業がDXを進める上で重視すべきポイントとして、「データ利活用」「内製化」「コラボレーション」の3つを挙げ、その理由について次のように説明した(図1)。
1つ目のデータ利活用については、「Harvard Business Review」がグローバル企業の経営層366人から回答を得て2023年3月に公表した「データとAI(人工知能)に関する調査」の結果から、次の内容を取り上げた。
- 91%が、ビジネスを成功させるためにはデータとアナリティクスへのアクセスの民主化が組織の成功に重要であると回答
- 76%が、AI機能へのアクセスを民主化することが重要であると回答
- 81%が、過去2年間にデータとアナリティクスの取り組みへの投資を増加
これらの調査結果から、DXにはデータ活用が重要であることを強調した。Google Cloudのサービスは「データクラウド」を前面に押し出していることから、「データ活用ならGoogle Cloud」とのアピールが読み取れる。
2つ目の内製化については、企業が期待することとして、「コスト削減」「開発や運用の迅速化」「変革の社内理解の拡大」を挙げた。「これらにより、企業におけるDXの質と量、そしてスピードが向上する」と平手氏は語った。「こうした期待に対し、当社のサービスは簡単に始められ、ビジネスの成長に合わせてスケールできる。また、スピーディーで安全な開発、運用環境を構築でき、高度なスキルを持つパートナー企業とともにお客さまのDXのサポートに努めていく」と平手氏はアピールした。
3つ目のコラボレーションについては、「DXの推進には組織のアジリティを高めることが求められる。そのために、組織の壁を越えたコラボレーションの実現が不可欠だ。それがイノベーションの創出にもつながっていく」と説明する。その上で、「世界で30億人のユーザーが利用している『Google Workspace』はAIの力を利用し、これまでにないコラボレーションやイノベーションを実現する環境を提供している」と強調した。
プライベートイベントでのスピーチなので、重視すべきポイントとはいえ手前みその話になるのは当然だが、それを勘案したとしても上記の3つはまさしくDXを進める上で必須のポイントといえる。
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