DXで価値を生み続ける企業はどこが違う?――アクセンチュアが指摘する「6つの特徴」:Weekly Memo(2/2 ページ)
不確実性が増す時代にDXで価値を生み出し続ける企業はどこが違うのか。アクセンチュアはこれらの企業の特徴として「6つの特徴」を指摘した。
価値を生み出し続ける企業が取り組む「TER」戦略とは
アクセンチュアは上記で示したような持続的に価値を生み出す企業について、新たに「Total Enterprise Reinvention」(以下、TER)という概念を打ち出している。廣瀬氏によると、同社はTERを「新たなフロンティアを探求し続けることで企業価値を持続的に高める新たな発想の戦略であり、業界・社会変革のためのデジタルコアを中核に据え、飛躍的成長と経営最適化を実現しようとする企業のありよう」と定義している。これを一言で表現すれば、「企業全体の再創造」となる。
そして、TERを実践している企業を「Reinventors」(再創造企業)と呼び、次の6つの特徴があるとしている。
- リ・インベンションを戦略に設定している
- 競争優位の源泉としてデジタルコアを確立、強化している
- 社会の潜在価値を具現化し、業界内ベンチマークを超えた成果を探求している
- 人材戦略と人材の持つ能力がリ・インベンションを実現している
- リ・インベンションの取り組み、スコープを限定しない
- 絶えずリ・インベンションが進められる態勢を用意している
さらに、図3のリストに挙がった企業が変革実現のドライバーとして掲げている項目から共通する要素をピックアップすると、「CEO(最高経営責任者)による共感を生む野心的なビジョン」「業界、社会の変革を駆動するデジタルコア」「企業や組織を超えた共創型の働き方」の3つが浮かび上がる。そして、この3つの要素を持つことが、Reinventorsとして企業価値を高めるための必須要件となるのだ(図5)。
村上氏はこの3つの要素について、1つ目の「ビジョン」については「時代の変化に応じてCEOが掲げるべきビジョンも変化させる」、2つ目の「デジタルコア」については「臨機応変に自らを伸縮・変化させ、業界・社会変革を先導していくためのデジタルコアの具備が求められる」、3つ目の「働き方」については「イノベーションを巻き起こすリーダーシップ、カルチャー、企業を超えた共創を前提とした働き方が求められる」をポイントとして挙げた。
この3つの要素は、ビジョンを「ビジネス」、デジタルコアを「テクノロジー」、働き方を「マネジメント」と捉えれば、まさしく企業を成り立たせる「3大」要素を表したものとなる。さらに今回のアクセンチュアの話から、もう一つ重要な要素を加えるならば、図1で印象的な「スピード」だ。しかもスピードは3大要素の全てに適用すべき「最重要」要素ではないか。そう感じさせられた会見だった。
著者紹介:ジャーナリスト 松岡 功
フリージャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT/デジタル」の3分野をテーマに、複数のメディアで多様な見方を提供する記事を執筆している。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌編集長を歴任後、フリーに。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。1957年8月生まれ、大阪府出身。
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