これからPaaSの時代が来る――そう感じさせるServiceNowの“動き”とは:Weekly Memo(1/2 ページ)
クラウドサービスと言えばIaaSとSaaSが目立ちがちで、その間のアプリケーション開発基盤となるPaaSはどちらかに含まれて語られるという印象がある。だが、DXの進展に伴って、これからPaaSの時代が来るのではないかとServiceNowの動きから感じた。どういうことか、解説しよう。
「AI(人工知能)を備えて進化するプラットフォームで、あらゆる開発者を強力に支援したい」
米ServiceNowの日本法人ServiceNow Japanの鈴木正敏氏(執行役員社長)は、同社が2023年6月27日にオンラインで開催したプライベートイベント「ServiceNow Creator Day 2023」の基調講演でこう強調した。「あらゆる開発者」を「クリエイター」と位置付けての呼びかけとともに、ServiceNowの勢いを感じさせる発言だ。
ServiceNowのPaaSが注目される理由とは
ServiceNowはITサービス管理(ITSM)から各種業務、顧客および従業員向けのサービスまで企業全体にまたがるデジタルワークフローを構築することで、組織横断的なDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するクラウドサービスを提供している。2022年度(2022年12月期)のグローバルでの売上高は72億4500万ドル(決算時で約9400億円)と過去3年間で倍増以上の成長を遂げ、Salesforceに次ぐ規模の独立系クラウドサービス専業ベンダーとして存在感を発揮するようになってきた。
2004年設立のServiceNowが注目されるようになったのは、グローバル標準のITSMをSaaS(Software as a Service)として提供したのがきっかけだ。その後、各種業務や顧客、従業員向けのサービスへと広げていった。そうした中で同社が目指しているのは「自動化できる業務はITに任せ、人が付加価値の高い仕事に注力できるようにする」(鈴木氏)ことだ。そのために、各種SaaSを連携させるワークフローやデータを一元管理できるようにした「Now Platform」と呼ぶプラットフォームをPaaS(Platform as a Service)として提供している。ここにはデータベースやAI、アナリティクス、ユーザーエクスペリエンスなどの機能も集約されている(図1)。
Now Platformが注目されるポイントの一つは、既存のERPやCRMなど他社のアプリケーションと連携させて、社内の業務システムとして横断的なワークフローを構築できる点だ。さらに、誰でも新たなサービスをローコード/ノーコードで開発できる環境や先頃発表したばかりの同社独自の生成AIソリューションもこのプラットフォームから各種業務に組み入れて活用できるようにしている。
「誰でも」という点について鈴木氏は、次のように説明した(図2)。
「Now Platformはアプリケーション開発に携わるプロの開発者やServiceNowに特化した開発者だけでなく、業務現場などでのいわゆる市民開発者などにもそれぞれの目的に応じて使えるツールを用意している。そうした多様なユーザー視点に基づいた柔軟なプラットフォームであることがNow Platformの優位性だと自負している」
冒頭で紹介した、あらゆる開発者に向けた発言とも通じた説明である。
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