アクセンチュアの提言から考察する 「どうすれば生成AIをうまく使いこなせるか」:Weekly Memo(1/2 ページ)
生成AIはどうすればうまく使いこなせるようになるのか。アクセンチュアの年次調査レポートから探る。
ジェネレーティブAI(以下、生成AI)をいかにビジネスに活用するかについて、さまざまな試みが実施されている。どうすれば生成AIをうまく使いこなせるようになるのか。アクセンチュアが興味深い見解を示したので、今回はその内容を紹介し、日米の比較も交えて生成AIの使いこなしについて考察したい。
生成AIで「デジタルバディ」によるUX革命へ
アクセンチュア(Accenture Japan)は2023年7月19日、米Accentureが2023年3月に発表した年次調査レポート「Technology Vision 2023」について記者説明会を開いた。同レポートは、今後数年間で企業が押さえるべきテクノロジートレンドを示したものだ。
アクセンチュアの山根圭輔氏(テクノロジーコンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービスグループ共同日本統括 兼 クラウドインフラストラクチャエンジニアリング日本統括 マネジング・ディレクター)が独自の表現を交えながら内容を説明した。
アクセンチュアの山根圭輔氏(テクノロジーコンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービスグループ共同日本統括 兼 クラウドインフラストラクチャエンジニアリング日本統括 マネジング・ディレクター)
今回のレポートでは「これまでの現実とデジタルの空間を行き来する世界から、現実とデジタルが『滑らかに融合する』世界へと移行しつつある」(山根氏)としながら、大きな動きの中で、それを支える4つのテクノロジートレンドとして、「生成AI」「デジタルアイデンティティー」「私たちのデータ」「フロンティアの果てへ」を挙げた。これらの概要は発表資料を参照いただくとして、ここでは生成AIにフォーカスする。
山根氏は生成AIが企業にもたらすインパクトとして、「AIX」(AIトランスフォーメーション)というキーワードを挙げた。AIXは「生成AIにより、現実の世界とデジタルの間を滑らかに融合させるUX(ユーザーエクスペリエンス)革命を企業が提供するサービスの変革に組み込むこと」を指す。
今まではデジタルツインが小さかったために大ざっぱなデータ分析しかできず、企業と顧客のコミュニケーションも単調だった。これからはデジタルツインが大きくなり、高度なデータ分析と生成AIによって企業の「デジタルバディ」(デジタル上の相棒)が個々の顧客ときめ細かいコミュニケーションをとれるようになるということだ(図1)。同氏は「デジタルバディによるUX革命はまさしく生成AIの役どころだ」との見方を示した。
では、企業はAIXをどのように進めていけばよいのか。デジタルツインを活用することは明らかになっているが、同氏はここでDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性を挙げた。企業におけるDXとAIXの関係を端的に表したのが、図2だ。「企業においては、図の左が現実の世界でありDX基盤、右がデジタルツインでのAIX推進を指す。つまり、DXの基盤があるからこそ、AIXが実現できる」(山根氏)とのことだ。
さらに、図2をデータ活用の観点から表したのが、図3だ。この図が示しているのは、企業活動のあらゆるデータを取集、蓄積し、生成AIと組み合わせることで企業独自のAIXを実現できるということだ。ここでのポイントは「企業独自のAIXの実現」だ。これこそが、これからの企業競争力の決め手になるのではないか。日本でもこうした取り組みを始めた企業が増えてきているというのが、筆者の印象である。
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