大阪市「行政経営」で自動化プラットフォームを採用 ローコードで変化に対応
大阪市は、市の予算編成システムにServiceNowのクラウドプラットフォーム「Now Platform」を採用する。アナログ運用だった職員の業務負担を軽減し、業務の可視化と進捗管理、業務品質の向上を図る。
ServiceNow Japanは2023年7月26日、日立製作所(以下、日立)が構築する大阪市の予算編成システムに、クラウド型のワークフロー自動化プラットフォーム「ServiceNow Now Platform」(以下、Now Platform)が採用されたと発表した。同システムは2024年7月に全面稼働する予定だ。
Now Platformで実現した新たな予算編成システムとは
これまでの大阪市の予算編成業務は、各部署で表計算ソフトなどで作成した資料を紙や電子メールでやりとりし、それらをまとめるといったアナログ運用のため業務負荷が高かった。
予算編成関連業務に付随する「登録、確認、承認、管理」といった一連の業務フローをNow Platformに構築した新システムで「整流化」し、従来は部署間で行われていたファイルやメールでのやりとりをNow Platformに移行して一元化した。これによって、予算編成業務の可視化と進捗(しんちょく)管理、業務品質の向上を図り、行政サービスの向上と業務効率化につなげたい考えだ。
Now Platformは、ワークフロー自動化とその運用を支援するクラウド型のプラットフォームだ。部門をまたぐ業務プロセスの自動化を設定し、その稼働を可視化できる他、ローコードによるアプリケーション開発環境も用意されている。環境の変化に応じて予算編成のプロセスを柔軟に変更するといった柔軟な変更にも取り組みやすい。そのため、行政経営が直面するさまざまな環境変化や不確実性に対し、より一層柔軟かつ機敏に対応できるメリットも得られるとしている。
大阪市は、2023年3月に「Re-Designおおさか〜大阪市DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略」を策定し、市の使命や戦略の視点、実現したい未来や目指す姿と施策方針などのDX推進に向けた取り組み方針を定めた。特に戦略の視点では市民のQoL(生活の質)と「都市力」の向上に向けて「サービスDX」「都市・まちDX」「行政DX」の3方向から推進する。大阪市は、予算編成システム構築を行政DXの先駆けとして位置付けている。
予算編成をはじめとする内部事務は、多くの職員が関わる行政経営の根幹を支える業務だ。内部事務をクラウドプラットフォームで標準化、最適化することでデータの収集や照会、共有、分析などが容易になり、データに基づいた行政経営の戦略立案・実行をより円滑にできるようになる。
業務が可視化されることで、職員や組織の業務変革、生産性の向上につなげ、付加価値の高い業務に専念する環境を整えることで、市民のQoLと都市力の向上を見込む。
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