「繁忙期も残業時間ゼロ」をどう達成した? 吹田徳洲会病院の業務自動化施策
2024年4月から開始される医師の時間外労働の上限規制など、医療業界における「働き方改革」が進みつつある。大阪府吹田市の吹田徳洲会病院はRPAツールを導入し、医事課業務の時間削減や繁忙期の定時退社を実現したという。
RPAテクノロジーズは2023年12月20日、大阪府吹田市の吹田徳洲会病院が医事課業務にRPA(Robotic Process Automation)ツール「BizRobo!」を導入し、業務時間の削減や繁忙期の定時退社を実現したと発表した。
現場主導で「繁忙期も残業時間ゼロ」を達成
これまで吹田徳州会病院の医事課では毎月、経理への報告の期日が近づくと、書類作成のために職員が3〜4時間残業する状況が続いていた。
残業時間削減に向けた方法を模索する中で、グループ病院が「RPAツールの導入によって医療事務の工数を大幅に削減できた」との成果を報告したことから、RPAによる課題解決の検討を開始した。複数ツールの検討を経て、RPAテクノロジーズのサーバ型RPA製品「BizRobo! Lite」の採用を決定した。
導入の決め手になったのは次の3点だ。
- メディカルRPA協会を通じて全国の病院と知見が共有できる
- 実際に同じ電子カルテを導入している病院で大きな成果が出ている
- パートナー企業によるサポートが充実している
導入後は、IT専門部署ではなく、課題を抱える医事課の職員自らがロボット開発に取り組む「現場開発型」で業務自動化を推進した。パートナー企業のサポートを得ながら試行錯誤を経て開発を進め、導入後約1年で25体のロボットを開発・運用するに至ったという。
中でも残業時間削減に最も効果を発揮したのが、「未収金の入金確認ロボット」だ。毎月期限が決まっている未収金の入金確認・報告業務について、RPAツール導入によって作業時間が1時間以下に短縮され、職員の定時退社が可能になった。
他にも「レセプト返戻の報告ロボット」などの活用によって医事課全体の業務量が削減された。人的ミスの削減といった効果も得られた。
吹田徳州会病院は今後、医事課内で開発メンバーを増やす他、薬剤師や検査技師、理学療法士などのコメディカルや放射線技師など、他部署の職員にもRPA活用の幅を広げていきたい考えだ。
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