検索
連載

富士通とNECの最新受注状況から探る 「2024年度国内IT需要の行方」Weekly Memo(1/2 ページ)

2024年度の国内IT需要の動きはどうなるか。富士通とNECの最新受注状況や業績予想をチェックしながら、両社の見立てを探ってみた。

Share
Tweet
LINE
Hatena

 2024年度(2024年4月1日〜2025年3月31日)の国内IT需要の動きはどうなるか。国内ITサービス事業大手の富士通とNECが相次いで発表した2023年度(2023年4月1日〜2024年3月31日)の決算から、通期および第4四半期(2024年1〜3月)の受注状況と、それを踏まえた2024年度の業績予想をチェックしながら、両社の見立てを探ってみた。

富士通は2024年度国内IT需要をどう見ているか

 富士通が2024年4月25日に開いた決算会見では時田隆仁社長 CEOと、磯部武司副社長 CFO(最高財務責任者)が説明した。時田氏は2024年度に向けた思いとして、「引き続き事業モデルの変革を進め、サービスソリューションを中心として全社の収益性拡大を目指したい」と述べた。なお、本稿では同社の「サービスソリューション」をITサービスとして扱う。


左から富士通の時田氏、磯部氏

 同社が発表したITサービスにおける国内受注状況は、通期および第4四半期とも前期比116%と好調に推移した。業種別では、エンタープライズビジネス(製造業などの産業・流通・小売)が通期で同107%(第4四半期で同106%)、ファイナンスビジネス(金融・保険)が同115%(同104%)、パブリック&ヘルスケア(官公庁・自治体・医療)が同119%(同103%)、ミッションクリティカル他が同127%(同149%)と、いずれも伸長した(図1)。


図1 富士通の各分野における2023年度の受注状況(出典:富士通の決算資料)

 この受注状況について、磯部氏は業種ごとの動きも合わせて次のように説明した。

 「国内のビジネスは広い範囲で好調に推移している。受注はこの1年、四半期ごとで見ても二桁成長を続けている。エンタープライズビジネスはモダナイゼーション案件を中心に製造やモビリティ、リテール分野がけん引した。ファイナンスビジネスはメガバンクや保険業界のお客さまにおいて、基幹システムの更新やモダナイゼーション案件を多数獲得できた。パブリック&ヘルスケアは電子カルテや医療情報システムへの投資が好調に推移した。ミッションクリティカル領域ではナショナルセキュリティの大型商談を複数獲得し、2022年度の高い水準をさらに上回った」

 富士通はこうした受注状況を踏まえ、2024年度の業績予想を明らかにした(図2)。サービスソリューションでは、売上高に相当する売上収益として前年度比4.3%増の2兆2300億円、営業利益として同18.0%増の2800億円を見込む。磯部氏によると「サービスソリューションの国内での売上収益の伸びは前年度比10%増を見込んでいる」とのことだ。


図2 富士通の2024年度業績予想(出典:富士通の決算資料)

 2024年度の国内IT需要の動きについてはどう見ているか。懸念される点はないのだろうか。

 「今の状況を俯瞰(ふかん)すると、幅広い業種においてモダナイゼーション、さらにはDX(デジタルトランスフォーメーション)の需要が非常に強い状態が続くと捉えている。この状態が未来永劫続くとは思っていないが、さしずめモダナイゼーション需要のピークが来るまでは、しばらくこの状況が続くだろう。懸念される点としては、国際情勢や経済の激変に伴って生じる需要の落ち込みだ。現状ではそうした特殊事情もさることながら、高い需要に対して当社のリソースやケイパビリティー、そして信頼に応えることが大事だと考えている」(磯部氏)

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る