日本発の「ものづくり」「おもてなし」で世界をリード――JEITAの「日米デジタル経営調査」結果から考察:Weekly Memo(1/2 ページ)
「デジタル経営」において、日米の企業間にはどのような意識や取り組みの違いがあるのか。電子情報技術産業協会の調査結果から日本企業の針路について考察する。
経営の視点からデジタル活用を進める「デジタル経営」において、日米の企業の間にはどのような意識や取り組みの違いがあるのか――電子情報技術産業協会(以下、JEITA)がそんな調査結果を2024年3月6日に発表した。その内容が興味深かったので、今回はこの話題を取り上げ、日本企業の針路について考察する。
JEITAのソリューションサービス事業委員会がIDC Japanと共同で実施した「日米デジタル経営調査」は、デジタル経営に関連する内容について、民間企業の非IT部門のマネージャーおよび経営幹部を対象に2023年10〜11月にアンケートを実施し、日米それぞれで約300社から回答を得た。その結果について、同委員会 委員長の石橋潤一氏(富士通 サービスプラットフォーム品質マネジメント室長)と同副委員長の小堀賢司氏(NEC ソフトウェア&システムエンジニアリング統括部長)が発表会見を開催して説明した。
以下、筆者が注目した発表内容について、両氏の説明を紹介する。
まだ「守りのIT投資」の比重が高い日本企業
IT投資が増加する理由を聞いた結果を見ると(図1)、日米ともに企業のIT投資は増えているが、その理由には違いがあることが分かった。図1のグラフは、左側に「守りのIT投資」、右側に「攻めのIT投資」の項目が並ぶ。日本(赤線)と米国(青線)の傾向が示されている。
日本は左側の「守りのIT投資」に寄り気味なのに対し、米国はバランスがとれている。ちなみに点線は2020年度実施された調査結果を示しているが、日本が左に寄り気味なのは変わらない。この点については、以前から指摘されており、直近でもその傾向は変わらないというのが実態のようだ。
図2は、デジタル経営およびDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組み状況を示したものである。横棒グラフの上が日本、下が米国だ。ここでの注目点は、横棒グラフの左側の濃淡ブルー色領域を「経営戦略とデジタル戦略が一体化している」と捉えると、米国が53.9%(24.1+29.8)なのに対し、日本は26.4%(14.5+11.9)と半数以下にとどまっているところだ。日本で最も割合が大きいのは、「小規模なパイロットプロジェクトや実証実験を行っている段階」(紫)だ。次の段階へ向けて、日本企業が苦手なスピード感が求められていることも、このグラフは示している。
図3は、3年前と比較して売上高および営業利益が「10%以上増えた」という日本企業の割合を示したものだ。売上高(左)、営業利益(右)ともに3本の棒グラフがある。「ビジネス戦略と一体化」(各項目の右端)は、図2で該当した企業を指す。「DX長期戦略あり」(各項目の中央)は別の調査で51.7%の日本企業が当てはまる。ただし、この「DX長期戦略」がどこまで具体的な内容かは不明だ。
図3のグラフについては、「ビジネス戦略と一体化」している企業の業績の伸びが高いことを示しているのがポイントだ。DXの効果についてはさまざまな観点があるが、業績アップにつながらなければ、投資も継続できず、取り組む人々のモチベーションも維持できない。
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