自動運転専用ハードウェア「Gaggle Cluster」とは AI処理特化で自動運転モデル「TD-1」を動かす:技術トレンド
自動運転のスタートアップ企業チューリングが完全自動運転のための専用計算基盤「Gaggle Cluster」(ガグルクラスター)の運用を開始した。AI処理に特化して大量のGPUを最小のボトルネックで運用するように最適化したハードウェア構成を取る。
自動運転技術の開発などを手掛けるスタートアップ企業チューリングが完全自動運転のための専用計算基盤「Gaggle Cluster」(ガグルクラスター)の運用を開始した。
96基の「NVIDIA H100」GPUや「InfiniBand/NDR400」を搭載したこの基盤は分散学習での性能を最大限に発揮し、完全自動運転向けのAIモデル学習を支援する。チューリングはこのGaggle Clusterを活用し、カメラ映像のみで走行操作を行う自動運転モデルTD-1を開発、現実環境での試験も開始している。このプロジェクトに技術支援、資金提供を行う企業の1社であるNTTPCコミュニケーションズが2024年10月30日に公表した。同プロジェクトは同社の他、NTTドコモ・ベンチャーズ(NDV)といったNTTドコモグループ企業が参加する。
既にデモ走行も、完全自動運転用計算基盤「Gaggle Cluster」を構成するハードウェア
チューリングは完全自動運転のために必要な大規模なAIモデル学習を目指し、2023年11月から「Gaggle Cluster」の構築を開始している。
Gaggle Clusterは分散学習での性能を最大限に引き出せるよう設計された専用計算基盤だ。NVIDIA H100 GPUやNVIDIA InfiniBand/NDR400を搭載することで、大規模なAI学習において複数のGPUを同時に利用する際に生じるサーバー間の通信速度のボトルネックを最小限に抑える。
Gaggle Clusterはその他にもオールフラッシュの分散ストレージを採用しており、分散学習における性能を最大限に引き出し、クラスター全体を「単一の計算機」として扱うことで大規模な深層学習タスクを最適化する。
さらにチューリングがこのGaggle Clusterを活用し、独自の自動運転モデル「TD-1」を開発したことも伝えている。TD-1はカメラ映像のみを入力とし、周辺の車両や歩行者の認識から運転操作までを一貫して行うTransformerモデルとされている。このモデルによる走行試験も開始しており、現実の運転環境における性能評価を進める。
Gaggle Clusterは自動運転AI開発の他、生成AI開発にも活用されている。今年8月には自動運転向け生成世界モデル「Terra」、9月には「CoVLA Dataset」という自動運転向けVLAモデルデータセットを発表している。これらのモデルを活用し、現実世界の物理法則や物体間の相互作用を学習した高度な判断が可能な自動運転システムの開発を進める。
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