横浜銀行が生成AIを活用 実証実験で得た「想定外の気付き」とは?
専門性の高い業務での効率向上を図るため、生成AIをどう利用するか。横浜銀行が融資審査業務において生成AIを活用する実証実験で得た「思わぬ気付き」とは何か。
生成AIのビジネスにおける利用が本格化する中、専門性の高い業務での活用を試みる企業が増えている。横浜銀行は融資審査業務における稟議(りんぎ)書作成に生成AIを利用する実証実験を実施した。実証実験で同行が得た「想定外の気付き」とは何か。
横浜銀行が実証実験で得た「想定外の気付き」
大手地方銀行の横浜銀行は、業務効率化を図るために融資審査業務における生成AIの実証実験に取り組んだ。同行は、実証実験実施の背景について「融資審査業務では行員のヒアリング力や提案力の底上げが不可欠であり、そうした活動時間を創出するための業務効率化が強く求められている」としている。
日本IBMの支援を受けて同行が実施した実証実験の概要は次の通りだ。
- 目的: 生成AIによる生成内容が品質・業務効率化の観点で有用であるかの検証
- 期間: 6週間
- 内容: 日本IBMのアセットを活用した「融資稟議書作成支援AI」が作成した稟議書をもとに、審査項目の網羅率、文章品質、および業務時間削減効果を検証
両社は、実証実験で「融資稟議書作成支援AI」のプロトタイプを作成し、生成AIが融資稟議作成を支援することで、行員の稟議作成にかかる時間の効率化が確認できたとしている。
今後業務に実装した場合、最大で年間1万9500時間、融資担当行員1人当たり最大で月間8時間の効率化を見込む。
実証実験では想定外の気付きも得た。与信判断に必要な審査項目について、顧客へのヒアリングが不足している点が生成AIによって明確化されるという効果が確認された。生成AIを活用した融資審査を通じて、顧客からどのような情報を聞き取るべきかという「気付き」を得ることで、行員の審査スキルが向上すると同行は期待する。
両社は、今回の実証実験で確認したポイントや課題を整理し、実装化を目指して取り組みを継続する。
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