2026年問題で変わるPC運用──再イメージング権の見直しが突きつける転換点:PC運用の転換が経営の投資判断を左右する
CSPライセンスの条件変更やWSUSの非推奨化など、PC運用の前提が変わろうとしている。これらは情シス部門だけでなく、経営層にとってもIT投資や予算配分の見直しを迫る重要な論点だ。
2026年、企業のPC運用を支えてきた前提が大きく変わりつつある。CSPライセンス契約における再イメージング権の付与条件が見直され、従来ボリュームライセンスで一般的だった標準イメージによる展開は、CSPライセンスでは認められない方向へと進んでいる。
また、「Windows Server Update Services」(WSUS)を将来的に廃止するといったMicrosoftの発表は、単なる製品・契約変更にとどまらず、長年続いてきたオンプレミス中心の運用モデルそのものに再考を迫るものだ。ハイブリッドワークの定着や人手不足が進む中、従来のPC運用手法を維持し続けることは本当に最適なのか。本稿では、全国の導入現場を見てきたダイワボウ情報システム(DIS)への取材を通じて、PC展開・管理が迎える転換点と、これから求められる新しい運用の方向性を整理する。
――日本マイクロソフトより、CSPライセンスにおける「再イメージング権」の適用範囲が2026年6月末をもって見直されることが発表されています。これにより、多くの企業がこれまで当たり前のように行ってきたマスターイメージ(クローニング)による展開ができなくなります。この変更が、企業のPC展開や運用にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。
DIS担当者: この発表を受け止めたとき、単なるライセンス変更ではなく、日本国内で長年続いてきたPC展開運用モデルの構造的な転換点を迎えたと感じました。私たちは流通として、大企業から中堅・中小企業まで幅広いPC導入現場を見てきていますが、マスターイメージによる展開は事実上の「標準」として広く浸透していました。再イメージング権の厳格化は、そうした「業界全体の前提」が通用しなくなることを意味します。
一方で、DXを推進している企業ほど、特定の環境に依存せず、クラウドを前提にした展開・管理へ移行しています。DISの立場から見ても、この流れは一部の先進企業だけではなく、今後は日本全国に広がっていくと捉えています。
――CSPライセンスにおける「再イメージング権」の見直し期限が迫る中、従来のマスターイメージ展開に代わる手法として「Windows Autopilot」が最適とされる理由について、日本マイクロソフトのアナウンスの意図も踏まえてお聞かせいただけますでしょうか。
DIS担当者: 日本マイクロソフトのアナウンスを流通の立場で読み解くと、「誰が、どこで、どのように端末を購入しても同じ管理ができる世界」を実現しようとしている点が明確です。
Windows Autopilotは、その思想を最も端的に体現しています。DISがWindows Autopilotを最適解と考える理由は、メーカーやモデルごとの個別設計に依存しない点にあります。調達時点からWindows Autopilotによる展開を前提に設計すれば、購入タイミングや拠点が異なっても、同一ポリシーで展開できます。全国のパートナーさまを通じてPCを供給するDISにとって、「どこでも同じ品質で再現できる」ことは非常に重要です。その再現性と持続性の高さが、Windows Autopilotを推奨する最大の理由です。
――Microsoftより、「Windows Server Update Services」(WSUS)の機能開発終了(非推奨化)が発表されました。ハイブリッドワークが定着し、PCが社内外に点在する現在、オンプレミスのWSUSサーバで更新管理を行う場合、どのようなリスクや運用上の限界が生じているとお考えでしょうか。
DIS担当者: WSUSの非推奨化についても、DISは単なる製品ライフサイクルの話として見ていません。全国の導入現場を見ていく中で、オンプレミス前提の更新管理が、すでに運用実態と乖離(かいり)しているケースが増えてきています。特に拠点分散や在宅勤務が進む企業では、VPN未接続端末の更新状況が把握できず、IT管理者の手作業で補っている状態が常態化しています。これは特定企業の問題ではなく、多くの企業が共通して抱える構造的な課題です。WSUSが悪いのではなく、「人の頑張り」で成り立つ運用に限界が来ていると認識しています。
――それに対し、「Microsoft Intune」や「Windows Autopatch」といったクラウドベースの更新管理に移行することで、セキュリティリスクや管理工数はどのように改善(あるいは改善が期待できる)されるとお考えでしょうか。従来のWSUSと比較した際の具体的なメリットについてもお聞かせいただけますでしょうか。
DIS担当者: クラウド型更新管理の価値は単に便利になることではなく、「流通・展開のばらつきを吸収できる」点にあります。Microsoft IntuneやWindows Autopatchを使えば、調達タイミングや利用場所に関係なく、同一ルールで更新管理が可能です。IT管理者のスキル差や拠点差による運用品質のばらつきが課題になることも少なくありません。Windows Autopatchは、検証から展開までを標準化することで、そのばらつきを最小化します。これは、属人性を排し、企業規模を問わず一定水準のセキュリティを担保できる点で、WSUSとは思想そのものが異なる仕組みだと考えています。
――人手不足が続く中、PC1台1台を開梱して手作業で設定する従来型のキッティングは、情シス部門にとって大きな負担となっています。このような作業手順の多さが、企業の生産性にどのような影響を及ぼしているとお考えでしょうか。
DIS担当者: キッティングの負担についても、「個々の情シス部門の問題」ではなく、日本全体のIT運用効率に影響する課題として見ています。全国の導入現場を見ると、PC配布のたびに人手と時間が取られ、結果として本来進めるべき業務改善が後回しになるケースが非常に多く見受けられます。キッティングは避けられない作業ではあるものの、やり方次第で大きく効率化できる領域だと捉えています。ここを変えられるかどうかが、今後のIT部門の価値にも直結すると考えています。
――DISさまが提供される「ゼロタッチ展開」では、従来のキッティングと比べて作業時間を大幅に削減できることが期待されています。具体的にどのようなフローで工数削減を実現しているのか、詳しく教えていただけますでしょうか。
DIS担当者: DISのゼロタッチ展開は単なる作業代行ではなく、流通プロセスそのものを前提に設計している点が特徴です。調達段階でハードウェアID登録やグルーピングを行い、展開ロジックをクラウド側に集約します。これにより、いつでも、どこでも、同じ手順・同じ品質で展開が可能になります。情シス部門は物理作業から解放され、利用者は受け取ってサインインするだけです。この「調達から展開までが一気通貫で完結する」点は、ディストリビューターであるDISならではの強みだと考えています。
――特に中小企業では、情シス専任者が1人しかいなかったり、総務などと兼任されていたりするケースもあり、新しい管理手法への移行が難しい状況があります。こうしたリソースが限られた企業では、どのように運用管理手法を見直すべきだとお考えでしょうか。アドバイスやご意見をお聞かせいただけますでしょうか。
DIS担当者: 中小企業を多く支援してきたDISの立場から見ると、最大の課題は人手やスキル不足そのものではなく、「自社だけで何とかしようとしてしまう」点にあります。まずは新規端末からWindows Autopilotを適用する、更新管理をクラウドへ移行してみるといった、効果が分かりやすい部分から始めることが重要です。DISでは、中小企業でも無理なく続けられることを前提に、段階的に運用を変えていくアプローチを推奨しています。
――リソースが限られた中小企業に対して、DISさまは全国の販売パートナーを通じてどのように支援するお考えでしょうか。具体的な取り組みや支援の形についてお聞かせいただけますでしょうか。
DIS担当者: DISは全国のパートナーさまと連携し、調達から展開、運用、廃棄までを一連のライフサイクルとして検討していただくようにしています。単発の導入支援ではなく、「人が変わっても、拠点が増えても回り続ける運用」を提供することがディストリビューターとしての役割と考えています。現場を知るパートナーさまと共に、企業規模を問わず、長く安心して使い続けられるIT展開運用モデルを広げたいと考えています。
本記事は、ダイワボウ情報システムより提供された記事の一部をITmedia エンタープライズ編集部で整えたものです。
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提供:ダイワボウ情報システム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia エンタープライズ編集部/掲載内容有効期限:2026年3月18日





