国内のノートパソコンは平均価格が10万円程度といわれています。確かに予算10万円なら快適に使える製品の選択肢は多いのですが、「高性能は求めないので、もっと安く買いたい」といった声も少なくないでしょう。中古品を含めれば激安の製品もありますが、新品で十分使える製品となると、3〜4万円程度が予算の最低ラインです。
今回はそんな3万円台で購入できる安価なノートパソコンの選び方と、注目のモデルを紹介します。もちろん、中古品ではなく新品です。
【更新:2020年3月22日】内容を最新のものに改めました
パソコンで標準的なOS(基本ソフト)は、Microsoftの「Windows」(ウィンドウズ)です。ただ、予算3万円台なら定番の「Windows 10 Home」に加えて、Googleの「Chrome OS」(クロームオーエス)もチェックした方がいいでしょう。Chrome OSは人気WebブラウザのChrome上でほぼ全ての操作を行うもので、そのノートパソコン「Chromebook」(クロームブック)は、Windowsパソコンより安価な製品も少なくありません。
Chromebookは起動が速く、Web閲覧、メール、簡単な表計算や文書作成といった用途なら十分に使えます。ただし、幅広く普及しているWindows用ソフトは動かせず、接続できる周辺機器も一部なので、パソコンとしてできることは限られます。ただし、ChromebookではAndroidスマホ向けのアプリの多くを動かせるので、Androidに慣れている人にはメリットもあります。
予算3万円台となると、パソコンの性能は当然控えめです。Chrome OSはWindows 10より機能が限定的ですが、そのぶん低めのスペックでも比較的軽快に動きます。
パソコンの頭脳となるCPUはIntel(インテル)のCore(コア)シリーズが高性能ですが、低価格パソコンではそれより下のPentium(ペンティアム)やCeleron(セレロン)などが多いです。Intel製CPUと互換性のある、AMD製のエントリーCPUが使われることもあります。Coreシリーズと比べると操作の反応は速くはありませんが、もちろんWindowsやChrome OSはきちんと動きます。
OSやアプリが処理に利用するメインメモリは2GBで必要最低限、4GBあれば合格点です。データの保存などに利用するストレージは非常に高速でも容量が小さめのSSD(ソリッドステートドライブ)と、低速でも容量が大きなHDD(ハードディスクドライブ)、そして省電力でHDDより少し高速でも容量が小さなeMMC(組み込み用マルチメディアカード)があります。この中でおすすめはSSDです。
ディスプレイ(画面)のサイズは、使いやすさと持ち運びやすさのバランスを考える上で重要なポイントです。サイズが大きければ表示が見やすくなるので、作業もしやすくなります。また、写真や動画を表示したときの迫力も高まります。
またディスプレイのサイズが大きいと、本体のサイズも大きく重くなります。家の中で持ち運んで使う程度なら15型以上、外に持ち出して使うなら14型以下が目安です。3万円台の低価格帯では10〜11型程度の小型モデルもありますが、小容量のeMMCをはじめ低スペックなので、携帯利用に限ったサブのパソコンと考えるのが無難でしょう。
米HPといえば世界的に有名なパソコンメーカーの1社。低価格機から高級機まで幅広いラインアップをそろえています。日本HPの「HP 14s-dk0000」は、安価なWindows 10搭載ノートパソコンとしては非常に高いスペックでおすすめのモデルです。
CPUのAMD A4-9125(2.3GHz)は、IntelでいえばCeleron程度で控えめな性能です。ただ、メモリは4GB、ストレージは128GB SSDと、この価格帯ではハイスペックといえます。さらに注目は14型のディスプレイでフルHD(1920×1080ピクセル)の高解像度、しかも広視野角のIPS方式と高画質。とても安いノートパソコンとは思えないほどです。14型で重さ約1.53kgなので、持ち運んで使うのにも向いています。
米Dell(デル)といえば、日本でも多数の製品を販売しているおなじみのパソコンメーカー。この「Inspiron 15 3580」は、15.6型の大画面ディスプレイと、余裕のある容量1TB HDDが目を引く低価格なWindows 10搭載ノートパソコンです。
CPUはCeleron 4205U(1.8GHz)、メモリは4GBと、Windows 10の基本的な操作をするには十分なスペックです。15.6型ディスプレイの解像度はHD(1366×768)と高精細ではありませんが、大きな画面で写真や動画を楽しめます。ボディーは大型なので、家の外に持ち出すよりも家の中で使うのに向いています。
ASUS(エイスース)は台湾メーカーの中でも人気が高く、パソコンに加えてスマホも日本で販売しています。高コスパで知られるASUSのパソコンですが、この「VivoBook R203MA(R203MA-FD023T/A)」は、安くて携帯性が高い11.6型HDディスプレイ搭載のノートパソコンです。本体はA4サイズより一回り小さく、重さは1kgと軽く、バッテリー駆動時間は公称約14.6時間と持ち運び用にぴったりです。
CPUは低価格パソコンで定番のCeleron N4000(1.1GHz)、メモリは4GBと、ここまでは安価なWindows 10パソコンとして大きな問題がないスペックといえますが、ストレージは非常に小容量の32GB eMMCなので、メインのパソコンとして使うのは厳しいです。microSDを別途装着してサブのパソコンとして活用するのがいいでしょう。
AcerはChromebookのラインアップも豊富です。その中で「Chromebook 11 N7(C731-F12M)」は、持ち運んで使うのに安心感がある頑丈ボディーの11.6型Chromebookです。高価格帯のノートパソコンでみられる米軍調達基準(MIL-STD 810G)に準拠した高耐久のボディーは、防滴キーボードも備えたタフネス設計となっています。重さは約1.35kg、バッテリー駆動時間は公称約12時間と、携帯性は高いレベルにあります。
基本スペックは、CPUがCeleron N3060(1.6GHz)、メモリが2GB、ストレージが16GBのeMMC、ディスプレイが11.6型HDです。Windowsノートパソコンに比べてスペックは低めですが、インターネットにつないでクラウド上でデータを扱うChromebookはこれくらいでも高速起動でしっかり使えます。そのぶん、価格がWindowsノートパソコンより抑えめなのもポイントです。
ASUSもChromebookに積極的なメーカーです。今回取り上げる「Chromebook Flip C101PA」は10.1型のHDディスプレイが360度回転し、反対側に折りたたむことでタブレットスタイルとしても使えるコンパクトなChromebookです。ディスプレイはタッチパネル機能付きなので、指で触れてタッチ操作もできます。
ChromebookはAndroidアプリを動かせるのが大きな特徴ですが、このC101PAはCPUもAndroidスマホのようにArm系のOP1 Hexa-core(2.0GHz)を搭載しています。メモリは4GB、ストレージは16GBのeMMCで、メモリ容量は少し余裕がある方です。アルミ製の小型ボディーは約898gと軽く、公称約9時間のバッテリーを備えていて、持ち運びに適しています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.